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□12月企画
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★田中くん★
「はーっさみー」
首にぐるぐるにマフラーを巻きつけた田中くんが校門にやってきた。
今日こそ、今日こそ田中くんに想いを伝えるんだ…!
手には必死に編んだ手袋が入ったプレゼント袋を持って、いざ、アタック!
「あ、あの!」
田中くんを見れない。けど、足音が止まった。
「あれ?ななのじゃん。どーしたんだ?」
「これ、受け取ってほしいの!」
「…俺、誕生日でもなんでもねぇけど」
「今日は、クリスマス、イヴだから…その…えっと…」
少しの沈黙。
気まずい雰囲気。
「お、おおおおおおお俺に、ぷ、ぷぷぷぷぷプレゼントおおおおお!!!???」
田中くんも混乱して、うまく口がまわっていない。
「あ、あの、う、ううう受け取って…く、くく」
「いいいのかよ!俺がもらっても…」
「…うん」
やっと田中くんの顔を見る勇気がでたから、目線からゆっくりと上に向ける。
目の前には耳まで真っ赤にした田中くんの顔が見えた。
「あ、ありがと…すっげぇ…うけしい…」
「ま、また、始業式でね…/////////」
「お、おう、またな…////////」
一緒に過ごしたのは、この一瞬だったけど、この一瞬が最高に幸せだった。
翌年の始業式に、田中くんは私が編んだ手袋をつけて登校してきたのだった。
おわり