BOOK IDOLiSH7
□一織×陸01
1ページ/1ページ
喉が渇いて、珍しい時間に目が覚めてしまった。
部屋が乾燥しているのか、少しいがらっぽい喉を咳払いで誤魔化しながら水を求めて台所へ向かう。
スイッチを探り、明るくなった室内は、暗闇に慣れた目には光が強すぎた。
眩しさに痛む目を瞬かせながら、グラスを取り冷蔵庫内のボトルからミネラルウォーターを半分ほど注ぐ。
そして、ふと目を向けた、その先。
ソファーで口を開けて寝こける、無防備な赤髪。
「まったく……可愛らしい人だ……」
寝起きの頭で思ったことが唇から滑り落ち、私は慌てて口元を片手で押さえた。
良かった、起きない。
「こんなところで寝ていると、風邪を引きますよ」
IDOLiSH7最年少の私や四葉さんよりも幼く見える、18歳の寝顔。
肩を揺らしても、柔らかな頬を指先で突いてみても、起きない。
このままここで寝られるのは不味いですが……私が部屋まで運んでやる義理はないですね。
数秒思考して、そう結論付ける。
ただ、このIDOLiSH7のセンターは非常に病弱であるから、体を冷やして風邪など引かれたら私たち他のメンバーが困ることとなる。
本当に仕方がない。
ソファー下のプラスチックケースからブランケットを取り出し、兎毛が付着していないかを確認。
大丈夫そうですね。
そっと肩に掛けても起きない彼。
よく眠っている。
初めて見た彼の寝顔をもう少し見ていたいけれど、朝が早い。
私もそろそろ寝なくては。
「おやすみなさい、七瀬さん。いい夢を」
明かりを消す前に振り返って見た彼の顔は、やはり幼く、可愛らしかった。
END
2016/08/31〜2016/09/19