Novel
□泡沫の初恋、叶えたい初恋。
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「ナイッサー!!!」
体育館に響く大きな掛け声。
キュッキュッと鳴る靴の音。
今私はバレーの試合を見に来ている。
元々バレーにはあまり興味が無かったが、、、凄い。
皆が一つのボールに集中していて、尚且つチームメイトや相手の動きにも敏感になっている感じ。
こんなに熱くて面白いスポーツ始めて見た。
思わずボールの動きに目を奪われていると不意に頬が冷やっとした。
驚いて振り向くと「集中しすぎ笑」と笑いながら冷たい缶ジュースを手渡してくれている結衣がいた。
結衣が後ろにいること全く気づかなかった。
だいぶ集中してたんだなー…。
コートで皆に激励を送っている大地が見えた。
「大地っ‼︎‼︎」
大きく手を振ると、気付いた大地も大きく手を振り返してくれた。
その大地の後ろにいる菅原君は…
見ないようにして。
その時反対側のコートから黄色い声が響いた。
「そういえば、及川さんだっけ? 相変わらず人気だねー笑」
と漏らす結衣に
「そうだね、確かに爽やかだけど…」
と答え、私の言葉は止まった。
そして見ないようにしていたのに烏野側のコートのベンチを無意識に目がいっていた。
色素の薄いふわふわした髪の毛に
涙黒子。
白く透き通るような肌にいつもの
ヘラッとした笑顔が嘘のような真剣な眼差し。
そう、それは正しく、私の好きな”菅原孝支”だった。