Novel

□天使からの贈り物。
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12月24日 今日も烏野バレー部は平和に部活を終えました。

大地は主将会議とやらで青葉に行かなければならないらしく既に部活を後にしていた。


「茜ちゃん、今から帰るの?」

皆が寄り道について熱く討論している中帰る準備をしていると、制服姿の菅原君が話しかけてきた。

「菅原君お疲れ様。今日は大地がいなくてあんまり暗くなると危ないから早めに帰ってこいってお母さんに言われたんだ(笑)」

「そっか。俺ももうあがるから今日は俺が送ってくべ!(ニカッ」

「え!でも方向違うよ?」

「うん、俺は大丈夫。なんたって男だから(笑)」

「ありがと…//」

私はまともに菅原君の顔を見れないまま体育館から出て空を見る。



吐く息も白く染まるような寒い夜。

初めて2人だけで帰る時間。

緊張で何も話せない。

ふと脇道を見ると青白い光が漏れていることに気がついた。

イルミネーション。

「行く?」

菅原君は私がイルミネーションに見とれているのに気がついてくれていたみたいだった。

でも、その脇道は遠回りになってしまう道。

「ううん、いいよ(笑)あっちは遠回りだから。」

それでも菅原君は納得してないような表情だ。

「また今度にする。」

菅原君に言い聞かせるように言う。

「それって、大地と?」

私が頷くと菅原君はぐいっと私の腕を掴んで脇道へ歩き出した。

「え?え、え??」

状況を理解出来ていない私は手を引かれるままに歩いた。

「俺は茜ちゃんと見たい。だから、今日行こ?」

菅原君は反則的な顔でこちらを見る。

…断れる訳ない。

好きな人からのお誘いなのだから。

私は地面を見ながら頷いた。



菅原君と手を繋いでいる状態でイルミネーションの中を歩く。

気付かれないようにすっごく綺麗なイルミネーションを背景に菅原君を見る。

「イルミネーションなんて、いつぶりかな…。技術の進歩はすごいべ。(ヘラッ」

無邪気に笑う菅原君と目が合う。

無性に恥ずかしくなって手元が異常に熱くなる。

「茜ちゃん、手熱くない?(笑)」

菅原君はどこかからかうように顔を覗き込んでくる。

「た、立ち止まったら帰るの遅くなっちゃうよ…」

「茜ちゃんと居れる時間が長くなるなら俺はいいや(ニカッ」

私は戸惑いを隠せずに話しているのな何枚もうわてな返事が返ってくる。



それからイルミネーションを堪能し、すごく幸せだった。

でも時は止まらず、気がつけばもう自宅についてしまっていた。

まだ一緒にいたい気持ちは山々だったけど菅原君が風邪を引いてしまわないか心配だったので「またね♪」と言って手を振る。

「待って!!」

今度は肩を掴み引き止められる。

そして菅原君はバッグをごそごそして中から何かを出した。

それは可愛い紙で包まれた小さな箱だった。

「これ…」と言いながら恥ずかしそうにその可愛い箱を私の目の前に差し出す。

「メリークリスマス!スガサンタからのプレゼントだべ!」

菅原君は満面の笑みだが頬が紅くなっているのは寒いからだろうか。

「ありがとう//でも私何も用意してないんだ…」

可愛い箱を受け取って俯く私の頭に菅原君の手が置かれる。

「もう、もらってるべ…(ニコッ」

思わず私は首をかしげた。

「じゃあ!寒いから風邪引かないようになー!」

菅原君は私に質問させる隙を与えない勢いで走って行ってしまった。



お風呂に入り、晩御飯を済ませ、予習復習も終わった頃。

私はベットの上に座って菅原君からもらった小さな箱を見つめていた。

(開けるの勿体無いな…)と思いつつも中身が気になって開けてみる。

中にはキラキラしたチャームが入っていた。

シルバーの本体に薄いピンクの石がはめこまれているチャーム。

ハートの半分のような形。

すごく可愛くて、私の好みだった。

いつも相手の事を考えている優しい菅原君だからこそ出来るチョイス。

そう考えるとどんどん自分の口角が上がっていくのがわかる。

無くさないようにしっかりとメインバックにつけてその日は眠った。



そのチャームの形が意味するものは次の日になって気がつくのであった。
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