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□秋風
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あれから二年。
いつものように店の入り口の掃除をし、二年前に出会った男性を思い出す。
あれ以来一度も会っていない。
今日は来ないだろうか、明日は来るだろうか。
そんな淡い期待をしながら毎日過ごしていた。
(綺麗な人だったな…)
一度会っただけだからはっきりとは思い出せないが、記憶を辿り、なんとか思いだそうとする日々。
友達に話すと、「そんなに必死に思い出さなきゃいけないくらいなら忘れればいいのに。ただの一目惚れでしょ?」と笑われた。
(確かにその通りだけど、なんだかまた会えるような気がする…)
秋風が吹き、楓の葉が舞う。
(あーっもう…せっかく掃いたのに)
今年もそんな季節がやってきた。