short

□星空と狗
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「帰りたくない…」


酔って暴力的になった兄から逃れ、夜道を一人で歩く。



さっき殴られた腕と顔が痛む。

普段優しい兄が、酒を飲むと豹変するタイプだったなんて未だに信じられない。


公園のベンチに座り、さっき買ったミルクティーを飲んで気持ちを落ち着かせ、夜空を見上げる。


冬が目の前まで近づいてきて空気も澄み、星が輝いている。


名無しさんはこの星空を見上げるのが好きだった。


昔はよく兄と星空を観る為にこの公園に訪れた。
毎晩のようにお酒に溺れる兄とはもう、観られる日は来ないだろう。


そんな事を考えていると涙が溢れ出してきた。


綺麗だった筈の星空が霞む。




今日はあいつ来てくれないかな…なぜか頭に浮かんできた考えに、なんだか恥ずかしくなる。
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