OP連載

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「あらフランキー!あなたどうしてここに?」


グリーンビットから地下通路を通り、花畑の本部に辿り着いたロビンは見覚えのありすぎるロボに目を丸くした。


「実はよ…地下の工場入り口を探している途中でこいつと会ってな」

「え?」


フランキーの肩にいた、赤いブリキのオモチャの片手が挙がった。


「工場にはまだ我々の仲間が囚われている。彼の話を聞いて、是非とも協力し合えないかと思ってな」

「「「「隊長〜〜!!」」」」

「”オモチャの兵隊”か」

「君たちも私の事を知っているのか?」

「まァな」

「隊長!この方々はコウモリ族の姫君から遣わされし、伝説のヒーロー達です!!」

「「……」」

「……しゅ…しゅびばぜん……」


ローとロビンの視線を受け、ウソップが蚊の鳴くような声で目を逸らした。
結局嘘だとは言い出せないまま、小人達の士気はウソップのせいで鰻上りなのである。
ローはフランキーを引っ張り兵隊から離すと、ロビンとウソップの近くで小人達の耳を避けるように小声で訴えた。


「(これ以上ここにいると本気でこいつらに巻き込まれるぞ…!早くここを発つんだ)」

「(そうね…じゃないと、このまま一緒にいたら小人達の身も危険に晒されるわ)」

「(なァよ…伝説のヒーローってお前ら何してんだ?)」


その間小人達の隊長への報告も進んでいく。


「そう!!トンタッタに”伝説のヒーロー”が降りたったのれす!!!その名も”ウソランド”に”ロビランド”に”ローランド”!!」


涙混じりに訴える小人を見て、フランキーの目がウソップへと戻る。
ウソップはとうに、蹲って全ての視線から逃れようと頭を抱えていた。


「更に彼らには仲間がいるそうで…名は”ルフィランド””ゾロランド””ナミランド””サンランド””チョパランド””フラランド””ホネランド”」

「あー…おれは多分”フラランド”だ」

「「「「え〜〜〜〜〜〜っ!!?嬉しい〜〜!!!」」」」

「なんと!!」


まさかたまたま自分が連れてきた人物が!?と驚きを露にする兵隊。


「おい!」


結果的に、小人達の盛り上がりに油を注いだフランキーを咎めるローに、フランキーはまあまあ、と再び声を潜める。


「(小人達が何をしようとしておくのか把握するのは悪いことじゃねェ。シノの話じゃ、こいつらが地下通路を作って姫と仲間を助けようとしてるって話だったが、兵隊が身体を取り戻すのにシュガーを倒したがっているとも言っていた)」

「(ええたしかに…彼の正体はこの国最強の戦士だったそうだし)」

「(……こいつらの狙いはシュガーを倒し、オモチャの解放で起こる混乱に乗じてドフラミンゴの首を獲る事か…)」

「(え〜〜〜っ!!?)」


ローの導き出した答えに、ウソップは悲鳴を両手で押さえながら、顔を真っ青にしていた。
あの小人達が!
ウソップの嘘にコロリと騙されるあの善良な小人達が!!
よもやそんな大それた事考えていたとは、ミジンコ程にも思っていなかったのである。
フランキーが頷くと、ロビンは「(ちょっと待って…!)」と手のひらを見せる。


「(だとしたら小人達が……!)」

「(返り討ちだろうな)」

「(ああ…そう上手くいくのか……こんなちっぽけな虫けらみてェな奴らがどう出るか、おれは知りてェ!)」


だからフランキーは兵隊についてきたのだ。
フランキーは、彼の身の上を少し聞きかじっただけの赤の他人である。
勿論それは弁えているつもりだが、どうしても…彼の10年の戦いを思うと、放ってはおけなかった。


この時すでに、フランキーには作戦に反してでも兵隊や小人達に手を貸す覚悟があった。
それをローも感じ取っており、異を唱えようとはした。
だがこの時それを言葉にしなかったのは、兵隊や小人達の直の声を聞く事で、あの時彼の守ろうとしたものを思い出していたからだった。



(コラさん……)


―――彼こそ、シノの感じる”失われた卵”にして、ローの人生をかける恩人だった。



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管制官不在でドレスローザ上陸。
管制官によって島の情報割と筒抜けなので、酒場シーンとか諸々ショートカットです。
本当は管制官の行動もこの話に入れたかったんだけど、未だかつてない長々になるので切りました。
次回『その頃管制官は〜』でござる。
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