IF

□IFPH13
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「ぐぬぬ…っお前らまだ居座るのか……」

「……」

「無視するなーーっ!!」


ローたちがパンクハザードにやって来て早数ヶ月。
シーザーは、未だに帰る様子のない居候の1人、シノにすれ違い様文句を言うが、例の如く無視して立ち去られ、腹を立てていた。




「あいつめ…っこの天才科学者に向かってなんて態度だっ!いっそひと思いに……!!」

「あらダメよマスター。そんなことしたら、ローが怒って私の心臓が危ないわ」

「知るか畜生っ!!こんなことならアイツの心臓を人質にとるんだったぜ」

「そうよね。せっかくローの心臓を渡すまいと自分のをって言ったあの子に、マスターが『お前みてーな小娘の心臓でおれが満足するかバカめ!それじゃ意味ねーんだよ!!』って断ったものね」

「ぐわああっ!!お前最近うるさいぞモネ!!」

「フフフ、そうかしら。ごめんなさい」


と言いつつ、全然申し訳なさそうじゃないモネだった。
基本的に笑みを貼り付けているようなモネだが、ローたち…とくにシノを相手にしたときのシーザーはからかい甲斐があって、そこを突付くのが、最近のモネの数少ない娯楽なのである。
何しろシーザーの研究にしか使われていない島は閉鎖的で、常に娯楽に飢えているのだ。



「でも……あの子の能力は多分”ジョーカー”も興味を示すはず…」

「能力ぅ?あの騒音のことか?」


大勢の部下やシーザー自身も体験した”レクイエム”はえげつない能力だと思うが、己のガスガスの実のように殺傷能力があるかと言えばそうではない。
厄介なのはむしろ、音波化して姿を隠したまま音速移動される方だろう、とシーザーが思うのには理由があった。

まず、シノはこの島に来て、まだ一度たりとも”フレア・ビブラート”等の攻撃能力を使ってはいない。
他の能力についても、シーザーたちに見つからないように使用している。

優秀な科学者であるシーザーが、オトオトの実の能力の可能性について思い至らないわけではない。
ただ、あの生意気で小賢しい野生の猿のような小娘に、空気の振動を利用した超沸騰などという科学的なことを思いつくはずがないと、無意識に切り捨てているのだ。


「それだけであのトラファルガー・ローが連れ歩くはずがない。もし彼女が私の想像通りの力を有しているのなら……きっとジョーカーの役に立つわ。もしもの時は生け捕りに……」


答えはもうじき出るはずだ。


「あと少しで彼も到着するとのことですし」

「そうか!シュロロロロ…!」






「――――もうすぐ来るって」

「そうか」


シーザーたちのいたメイン研究室から所変わり、そこは研究所内でも滅多に人が来ない数多ある資料室のうちの一室だった。
モネたちの話を聞いてすぐ、音速移動で現れたシノの報告に頷くロー。


「それと私の能力も、モネはある程度予測を立ててきてるみたい」

「まぁそうだろうな。だがバレるまでは”攻撃””索敵””連絡”の能力は隠し通せ」


ローの能力については、背後にジョーカーがいる時点で隠し通せるものではない。
対してシノの能力は、本人が明かさなければ知られていない可能性が高いのだ。
シノの能力はどれも、目に見えてわかる力ではないため、超音波を使って索敵を行う”エコーロケーション”然り、すぐそばで使っていても察知できる人間などほぼ皆無。
ローは島に入る前、シノに彼らの前ではけして前述の3つに該当する能力を悟られるなと言い含めていた。



『お前の能力を明かして、ジョーカーへ連絡をしようとする奴らの牽制にするより、隠して得るものの方がでけェ』



おかげで向こうも、こちらがヴェルゴの到着を知っているかどうか半信半疑。
だからこそ、彼の到着によるこちらの反応で、シノの能力の真髄を計ろうとしている。


「切り札は隠すもんだ」


彼らがローのものだと思っているモノが、既にそうではないことにも気づかずに―――

こちらは既に、目的の物のある場所も特定済みだ。


「ククク…」

「(また悪い顔になってる…)」


麦わらの一味と海軍G−5が現れる、前日の出来事である。



********

もしも本編13で、ローが管制官をぼっち潜入させなかったら…勿論PH編突入!
というわけでIFってみました。
普通に考えて、ローは管制官みたいな能力者がいたら絶対DRに潜入させると思いつつ、PH編もやりたい欲求がすごくあって、これはもうIFるしかないなと…!

シーザーはいじめた…ごほん、いじりたくなります。よね!
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