IF

□IN FILM"Z"
2ページ/2ページ




Z(ゼット)と名乗る男とその配下達を退けることには成功したロー達であるが、それと同時に、自分達も態勢を立て直すため島を退くことを余儀なくされていた。

負傷者の治療も済み、シノは自分の胸に手を当て、しみじみと言った。



「肩が軽い」


それはそうだろう。
元々小さな身体にはそぐわない大きさだった脂肪の塊がふたつ、キレイさっぱり消失したのだから。


「うおおおっシノの乳がァ〜〜〜!!」

「更地にィ〜〜っ!!!」

「失礼な。Bくらいはあるよ」


それでも、元が元なので、かなり寂しくなっているのは事実である。
その中で、ローが微妙な目でシノを眺めた。


「お前……身長はそのままなんだな……」


意訳すると『12年間少しも伸びなかったんだな』という哀れみである。
襲撃を受けた際、Zという男とローが対峙している間、シノはアインという女のモドモドの実の能力で、12年間時を巻き戻されてしまったのである。
シノが水中にいなければ、けして突く事の出来なかった不意だ。
そのせいでシノは今、顔立ちだけ少し若返ったような?という雰囲気を残して、大きく育った胸がごっそり無くなってしまっていた。
それが、何となくクルー達の中で半信半疑だった”シノ大人説”を裏付ける事となったのは、本人としては微妙な話である。
説っていうか、事実なのだ。



「ごめんねシノ…おれがまっさきにチビにされたから…」


そう言って捨てられた小熊のような顔をするのは、ベポである。
急襲してきたアインにいの一番に触れられ、ベポを足場に、引き手のいなくなったシノまで触れられてしまった。
ハートの海賊団の中でも1、2位の体格に恵まれていたはずの彼は今、見る影もない。
シノの膝の上に乗れてしまう程に縮んでしまっていた。


「ベポ君…」


ハッキリ言って超かわいい。
ので、シノは膝の上にあったもふもふを抱きかかえ、もふもふもふもふ…


「……」

「キャプテン、瞳孔!瞳孔ヤバイっス…!」


そして若干、血走ってる。
「ああ?何がだ」と凄まれてから黙るシャチと違い、要領のいいペンギン以下数名は無論、心の中だけで呟いていたが。



「NEO海軍か……噂くらいは聞いていたが…」

「海軍から派生したテロ組織だな」


ペンギンの呟きにジャンバールが頷けば、ペンギンも彼を見てから同意する。


「キャプテンの相手をしていた男…Zと呼ばれていたが、もしかして元海軍大将ゼファー…だったか?」


随分昔、新聞で見た顔によく似ていた、と補足するペンギンは、話しながら考えをまとめているようだ。


「するとNEO海軍ってのは…見たところ……あいつに賛同した元海軍兵士なんかで構成されているのかも……噂じゃ過激で形振り構わねェ連中って話だが」

「七武海の一角が率いる海賊団を問答無用で襲ってきたんだ。頷ける」

「でもよー目的はなんだ?過激な海軍と思えば海賊を狩るっつーのはわからんでもないが…そのわりには引き際が良すぎだったよーな…」

「シャチの言うとおり…あいつらは他に何か目的があったんだろうよ」


仲間達の考えを聞いていたローは、シャチの意見に概ね同意する。


「目的?」

「シノ」


水を向けられ、意図を察したシノがベポのもふもふから顔を覗かせる。
Zとローの戦闘は、周囲に大いなる巻き添えを食わせる他は、激しいながらもお互いの実力故に場は拮抗していたと言っていい。
ところが、決定的な危機に見舞われたわけでもないのに、先に退却を始めたのは自軍の損害を恐れた、襲い掛かってきたNEO海軍の方であったのだ。


「私達を襲った後、どこかを襲う計画があったのは確かみたいだった。多分、私達と交戦する前から決まっていた計画…」


身体が小さくなり、浮き輪でなんとか生きていたシノは、同じく小さくなったベポに岸に上げてもらうまでの間もずっと、索敵と盗聴だけは行っていた。


「水で能力が制限されたりしてて全容はわからなかったし、ちょっとよくわからない言葉もあったんだけど…―――”ダイナガン”?の奪取が控えているから、”グランリブート”の前にこれ以上の戦力低下は避けたかったとか…」

「”ダイナ岩”だと!?」

「私達…ハートの海賊団との遭遇は偶然だったみたい。通り道にたまたまいた…みたいな口ぶりで……それに…」

「それに?」

「”七武海”に恨みでもあるみたいだった」


その言葉に、ローはZの様子を思い出していた。


「それで手ェ出しといて、むざむざ退却か?まあ、キャプテンの前じゃ、それも仕方なかったかもしんねーけどよ」

「…いや、あいつらは一時撤退したに過ぎないんだろうぜ」


あまりにお粗末な、とでも言わんばかりのシャチの言い草を、ローは否定する。


「まるで……猶予を与えてやってんのはこっちだとでも言うような目をしてやがった。あの男…Z、ゼファーといったか」


仲間を子供にしてやった優越感にしては行き過ぎていた。


「方向性も見えてきた―――連中がダイナ岩目当てならおそらく、次に向かうのはファウス島だ」


本来の目的とは違った副産物的な知識が、幸運にも彼の記憶にはしっかりと存在していた。
伊達に海軍本部に出入りしていたわけではない。



「山道を歩くガキじゃねェんだ。行き当たりばったりに突付いた藪がどんなもんか……見誤った馬鹿どもに教えてやる必要がある」



不敵な笑みを浮かべ「お前らの事もあるしな」と続ける船長に、視線を向けられたシノ達の周りを賛同の歓声が埋め尽くした。



********

フィルムZにお邪魔してみた編。
映画は魚人島編後という設定だと思いますが、パンクハザードにいるはずのキャプテンはのんびり七武海生活満喫中(`・ω・´)キリッ
なのに麦わらの一味との同盟も下地にあったりと、ご都合主義パラレルです。

キャプテンは迷いましたが、Zの相手してたらそれどころじゃないし、アインも近づけなかっただろうと思い、モドモドは見送りました。
ロー君14歳と管制官だったら、普通に年相応のカップルに見えたりするのかも…と思うと心惹かれますが。

管制官は10〜12歳前後くらいのつもりで書いています。
ベポはただ、赤ちゃん白熊航海士が見たかったたけのこの野望。
ベポの年齢が12歳以下じゃないことを祈ります。

ダイナ岩奪取という大仕事の前に七武海に現を抜かすNEO海軍はちょっとアレな気もしますが、そういう向こう見ずな所もらしいっちゃらしい気がします。
原因の七武海ってミンゴだったりするのかな…?とか考えるとすごい因縁。
もしそうだったら、キャプテンはミンゴさんのおかげでどんだけ…っていう。
世間狭し。

松果体っていうのは小豆サイズの、ホルモンとか分泌するところらしい。
下垂体といえば、昔科学捜査系海外ドラマで鼻から流(ry
言うまでもなく、たけのこに医療知識はありません。
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ