OP連載

□03
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ハートの海賊団に強制参入させられてから少し―――シノは、とある白熊の一言によって絶望した。



「ねえシノ」

「なに?」

「そろそろおれ以外の皆とも仲良くしたら?」

「!!?」



ぶわっ




「ベポの奴が食堂で新入り泣かしたらしいぜ」

「マジかよ。仲良さげだったじゃねーか。っつーかベポしか仲良くなかったじゃねーか」



そうなのである。
ぼっちが祟って前世ではうっかり死んでしまった程の人見知りに、唯一と言っても過言ではない仲良しのベポの一言は、シノの心に風穴を開けた。
やっぱりぼっちにべったりされるのはウザかったんだ…!!と、ショックを受けたシノはその場で泣いた。
白熊が慌てて謝って慰めようと、ボロクソに泣いた。
食堂だったのもあり、娯楽の少ない海賊船の中で、その噂は瞬く間に広がった。

暗くてジメジメした物体2つの出来上がりである。



「……なんだこれは」

「あ!キャプテン、実は…」


一部始終を見ていたシャチが、沈むベポをいぶかしんだローに事の顛末を話す。


「くだらねぇ」

「で、ですよねー」


一蹴である。
ローは食事を済ませると、何も言わぬままふらりと立ち去った。


「ホラ元気出せってベポ!シノだって事情はどうあれハートの海賊団に入ったんだ。いつまでもお前以外のクルーに背を向けてちゃいられねーんだ。お前は間違ってねーって!」

「うん…」

「これでおれらとも話せるようになるかもしんねーし、いーんじゃねーの?」


むしろシャチ的にそれは大歓迎だ。
ロリで巨乳な妹分とかおいしすぎるじゃないか。
でもって自分にだけ懐いてくれて、くっついてくれたりして、むにゅん…とかそんな日常最高だ!


「よくないよ!!」

「わっ」


がたん!と音を立てて、ベポには小さい椅子が倒れる。
シャチは、妄想がバレたか!?とビビッた。


「わわわ悪かったって!!そーだよな!仲間だもんな!っておれは別にやましいことなんか全然!これっぽっちも!」

「だっておれ…シノを泣かしたのに喜んでたんだ!」

「考え…て、え?」

「おれ…おれ……最低な熊だ…熊のくせに…熊でごめんなさい……」


そーだよ冷静に考えれば頭ン中読まれるわけねーんだよ、と我に返ったシャチ。
相手はベポだ。
キャプテンならともかく…。


「ってさらに落ち込んでんじゃねえよ!!」


べしっ


「いてっ」

「何で慰めてんのに余計ヘコんでんだよ!!せっかく慰めてんのに!」


べしっべしっべしっ


「ごっごめん!」


随分恩着せがましい慰めだが、そこはベポ。
素直に謝ってしまう可愛い奴だった。
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