OP連載
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ハートの海賊団に強制参入させられてから少し―――シノは、とある白熊の一言によって絶望した。
「ねえシノ」
「なに?」
「そろそろおれ以外の皆とも仲良くしたら?」
「!!?」
ぶわっ
「ベポの奴が食堂で新入り泣かしたらしいぜ」
「マジかよ。仲良さげだったじゃねーか。っつーかベポしか仲良くなかったじゃねーか」
そうなのである。
ぼっちが祟って前世ではうっかり死んでしまった程の人見知りに、唯一と言っても過言ではない仲良しのベポの一言は、シノの心に風穴を開けた。
やっぱりぼっちにべったりされるのはウザかったんだ…!!と、ショックを受けたシノはその場で泣いた。
白熊が慌てて謝って慰めようと、ボロクソに泣いた。
食堂だったのもあり、娯楽の少ない海賊船の中で、その噂は瞬く間に広がった。
暗くてジメジメした物体2つの出来上がりである。
「……なんだこれは」
「あ!キャプテン、実は…」
一部始終を見ていたシャチが、沈むベポをいぶかしんだローに事の顛末を話す。
「くだらねぇ」
「で、ですよねー」
一蹴である。
ローは食事を済ませると、何も言わぬままふらりと立ち去った。
「ホラ元気出せってベポ!シノだって事情はどうあれハートの海賊団に入ったんだ。いつまでもお前以外のクルーに背を向けてちゃいられねーんだ。お前は間違ってねーって!」
「うん…」
「これでおれらとも話せるようになるかもしんねーし、いーんじゃねーの?」
むしろシャチ的にそれは大歓迎だ。
ロリで巨乳な妹分とかおいしすぎるじゃないか。
でもって自分にだけ懐いてくれて、くっついてくれたりして、むにゅん…とかそんな日常最高だ!
「よくないよ!!」
「わっ」
がたん!と音を立てて、ベポには小さい椅子が倒れる。
シャチは、妄想がバレたか!?とビビッた。
「わわわ悪かったって!!そーだよな!仲間だもんな!っておれは別にやましいことなんか全然!これっぽっちも!」
「だっておれ…シノを泣かしたのに喜んでたんだ!」
「考え…て、え?」
「おれ…おれ……最低な熊だ…熊のくせに…熊でごめんなさい……」
そーだよ冷静に考えれば頭ン中読まれるわけねーんだよ、と我に返ったシャチ。
相手はベポだ。
キャプテンならともかく…。
「ってさらに落ち込んでんじゃねえよ!!」
べしっ
「いてっ」
「何で慰めてんのに余計ヘコんでんだよ!!せっかく慰めてんのに!」
べしっべしっべしっ
「ごっごめん!」
随分恩着せがましい慰めだが、そこはベポ。
素直に謝ってしまう可愛い奴だった。