OP連載

□06
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「お前もハートの海賊団の一員だからな!」

「クルーの証だぞ!!」

「……」


キラキラした目で(帽子などでわかりづらい人もいるが)わくわくとこちらの反応を窺うシャチたちに呑まれたシノは、振り絞るように「………ありがとう」とだけ口にした。


それは、合流してすぐのことだった。
シノは、先程シャチたち(W7残留組み)から進呈されたオレンジ色のツナギを広げて姿見の前に立つ。
ベポの部屋に、シノが加わってから取り付けたものだ。
皆よりだいぶ小さいサイズのそれを当ててみると、見ていたベポが「シノもオレンジ似合うね!」と嬉しそうに言った。
とりあえず着てみる。


「おーい着たかー」

「キャプテンにも早くお披露目しろよ!」

「っつーかその前に用意したおれらに見せるんだぞ!!」

「何でベポはいいんだよぉ…」


ドアの外が騒がしい。
時折、女子の生着替えの立会いを許されているベポに呪いの言葉がかかり、打たれ弱いベポがビクっとしている。
かわいそうだ。


「な、なんだろ…」

「気にしないでいいよ」

「そうかな……うぅ…ごめんなさい……」


鏡に映るシノは、オレンジのツナギを着て、どこか釈然としない面持ちで立っていた。


(あんまりかわいくない…)


これに尽きる。
今までハートのクルーと過ごしていて、シノは彼らがツナギ以外の服を着たのを見たことがなかった。
つまり、一度着たらずっとコレ…。
物資の少ない空島にいた時と違い、今は選択肢がたくさんあるのに、この先服がこれ一択とか何の罰ゲームだ。
救いはベポとお揃いという点だけである。
せっかく前の島でも、ベポと買い物して服をたくさん仕入れていたというのに…


「えへへ!お揃いだね」


今までこの色おれだけだったから、と無邪気に喜ぶベポ。
…裏切れない。


かくなる上は………



測量室のドアを開けると、張り付いていた面々が一気に床に雪崩れ込む。


「「「っぶふ」」」


彼らの頭の近くでくるりとターンしたシノ。


「「「「っぶっふうっ!!」」」」


頭上で一回りして見せたシノは、彼らの予想とは少し違ったらしい。
床に打ちつけいた頭を、再度顔から突っ込ませていた。


シノの上半身は大胆にもさらけ出されていた。
袖部分は腰で結ばれており、白い肌に映えるおへそが、少女が背伸びしているかのようで実に魅力的だ。
そして、所謂見せてもいい系の黒いチューブブラに包まれた胸は、外見の幼さに不釣合いのボリュームを誇っている。
シノは床に口付けしたままのクルー達を見下ろし、小さく首を傾げた。


「どうですか?」

「「「「いいと思います!!!!」」」」


ガッツリ全員に親指を立てられ、ホッとするシノだった。
ベポの期待は裏切れず、だからといってツナギのままは可愛くないなーと思った末の折衷案が、自分なりに着崩すことであった。
この世界のファッションセンスにはまだ馴染めていないので不安だったが、クルーたちの反応を見るに、合格は貰えたようだ。
だらしない着方するなとか言われずに済んで良かった。
あ、でもローは言うかもしれないな、とまた少し不安になっていると


「んなことねーって!っつーかそーなったらむしろおれらからキャプテンにお願いするし!」

「だからそのままでいてくださいお願いします」

「う、うん…」


不気味なほど擁護され、拝まれてしまった。
何故か懇願されてさえいるような雰囲気に、引き気味のシノだった。

甲板へ出ると、ドックの職人たちと話しているローの姿が見えた。
クルー達は少しずつ慣れてきたものの、知らない人間がたくさんいるドックに出た途端、シノはベポの後に隠れる。
クルー達がローに声をかけ、ベポがシノを前に出すと


「ハレンチーッ!!」


ローが何かを言う前に、何故か葉巻を加えた職人から、真っ赤な顔で抗議を受けたのだった。



********

キャプテンからはその後「ウチのシンボルが見えねー」と一言苦情を受けました。

書いた後に気がついたんですが、ガレーラってツナギ着た人いなかったかも…?
修理工場→ツナギっぽい作業服というのと、パウリーをイメージして書いていたので、ハートの海賊団がとけこむなと思ったのですが…。
たまたま作業服着た人が多かったということにしといてください。

ベポの好物って何だろう?
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