OP連載

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「そなたらには特別に湾岸に停泊することを許す。だがあくまでルフィの療養のためじゃ。島の内部に入ることは許さぬ」

「別に構わねえ」

「陣を張らせる。そこより出でる者は命が無いと思え」


ハンコックの意思を心得た女達が、森へと続く入り口を素早く幕で覆い隠していく。
シャチたちなどは九蛇の海賊船が来たときから女達に釘付けであるが、女達の方は、けんもほろろといったところか。
仕事を終えると、ハンコックを待つ少数を残してすぐに去って行った。

ルフィが目覚めていない以上、ハンコックも城へ戻るために甲板から華麗に跳び移る。
そして、甲板の柵から様子を窺っていたシノを振り返った。


「シノといったか」

「…?」

「愛する者のため、このわらわに歯向かうとは中々気骨のある娘じゃ。そなた1人ならばアマゾン・リリーは歓迎してもよいぞ」

「……1人なら、いい」

「フフ」


「(女帝が笑った…!!!!)」

「(美しさがとどまるところを知らねぇ…!!!)」


ハンコックの笑みを見たハートの海賊団の男たちは、揃って目をハートにしていた。
ベポとローを除いて。


「そなたら、ルフィが目覚め次第ただちにわらわに知らせよ!」

「「「かしこまりました〜〜〜!!!!」」」


ハンコックの美しさにメロメロになった奴らがやる気満々で返事をするのと一緒に、シノもこくりと頷いていた。
美しさにやられたでもなく、それどころかさっきはかなり敵視していたくせに、どういう心境の変化だというのか。


「わかった」


有象無象の男共より、小さな少女の声の方がハンコックの耳にも届いたらしい。
能力は使っていないのに、不思議なものだ。
ハンコックに、シノはへらりと笑った。


「大好きだから…心配、だもんね。……一緒」

「!」


ベポを慕うが故に怒ったシノと、ルフィのために尽力するハンコック。
感情の種類に差異はあれど、どちらも『好き』に変わりはない。


男たちが不思議がるのを余所に、いつの間にやら、笑みを交わす海賊女帝とシノだった。




その後、目覚めるなり暴走したルフィを察知したシノは、真っ先に蛇姫の城へと音の便りを届けた。
「仲直りのしるし」と、能力を使っていち早く知らせてくれた小さな少女は、ハンコックにとっては初めて出来た友人のようなものになりつつあるのかもしれない。



「ニョン婆…これが恋バナというものであろうか…!」

「ぬぅ…ちと違う気もするがニョう……」
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