OP連載

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―――翌朝、麦わらの一味の海賊船では、さっそくシーザーを材料にドフラミンゴとの取引の第一歩を踏み出していた。
ドフラミンゴは七武海を辞め、概ねローの計画通りの成り行きと言える。


ルフィが半ば無理矢理にドフラミンゴとの通信を切ると、サンジが交渉で抜け落ちた部分に気がついた。



「おい待て。相手の人数指定をしてねェぞ!!相手が一味全員引き連れてきたらどうする!!」

「――いや、それでも構わねェ」

「?」

「すでにこの作戦においてシーザーの引渡しは囮の様なもんだ」

「じゃあそのスキに”スマイル”の工場を潰す方が目的って事か」

「ああ…だがそれがどこにあるかがわからねェ」

「工場なんてデケェもんがわからねェって事あんのかよ。行きゃすぐスーパーわかるだろ。おれ様のビームで一発だ!!」

「「アニキー!!」」


本人たち曰く、スーパーなポーズを決めて騒ぐフランキーたちを気にせず、ローは話を続ける。


「そこだけ…どうしても情報を得られなかった」

「敵の大切な工場でしょ?何か秘密があるのかもね」


一味の中でもブレイン役になることの多いナミは、さもありなん、といった様子だ。


「トラ男〜〜お前そこ行った事あんのかよ。ドレスろうば!!」

「ローザだ」

「ローザ!!」


わりと真面目な性分が、つい律儀に訂正してしまうローだった。
ルフィの問いにも答える。


「――ない。……だが、仲間を1人潜入させている。工場の場所もじきわかるはずだ」

「1人で?敵の本拠地でしょう」


ロビンの反応は尤もである。
たしかに諜報は身軽な方がいいが、敵地に1人で潜入というのも、なかなかにリスキーだ。
それを言うなら、パンクハザードに1人でいたローも充分該当することではあるが。


「問題ねェ」

「へー!!熊か?」

「いや…」


どうもベポの印象が強いらしいルフィ。
出会った時から事あるごとに熊、熊だ。


「…女だ。もうじき現れるだろうが気にす」

「んんん女ァ〜〜!?レディっ!!レディが来るのか〜〜!!」

「るな」


最後まで言わせずに被せてきたくせに、クネクネと妙な動きですっ飛んできたのは、女性に目がないラブコック、サンジである。
ローの眉間と額に、不機嫌な筋が入る。
悲しいかな、彼の機嫌を気にしてくれるクルーは、この船にはいない。


「そういやシャボンディで小柄なレディがいたような……!!」

「……」

「ん〜〜む…おれとしたことがレディの顔を思い出せないとは…!トラ男と熊は出てくるんだが……」


顎に手をやり、ぐいん、と首どころか腰まで傾げて記憶を辿るサンジは、ルフィと違って熊に注意がいっていたわけではない。
サンジの女性専用サーチアイは、確実に彼女を視界の隅に捉えていた。
しかしあの時、ローに話しかけられたルフィがやって来たことで、ハートの海賊団の紅一点は、仲間を盾に人見知りを発動させていたものだから、顔まできちんと視認出来なかったのだろう。
ローは大方予想がついていたが、いちいち教えてやる気はない。
サンジの守備範囲など知らないが、あれはレディという枠には入らないだろう。
せいぜい実物を見て拍子抜けするがいい、などとシノが聞いたらへそを曲げそうなことを考えていた。


「ほんじゃまーあとは全部着いてから考えよう!!ししし冒険冒険っ!!!楽しみだなードレスローザ!!おれ早くワノ国にも行きてェなー!!」

「バカいえ!!何の計画もなく乗り込めるような…」


何のためにローがシノを潜入させていたと思っているのだ。
シノが到着次第、情報を得て作戦を立てなければ、と深刻なのはローだけで…


「お持て成ししなくっちゃな〜〜!!」

「サンジハラへった。朝メシなんだ!?」

「サンドイッチだ」

「わーおれわたあめサンド!!」

「私は紅茶だけで」

「おれはパンは嫌いだ」


……はっ!!とローが我に返った時には遅かった。
緊張感の欠片もなくダイニングに向かう麦わらの一味を見送るローは、しっかりと彼らに毒されてしまっていたのである。



********

ベビー5とバッファローは、海賊海軍勢ぞろいの宴の最中にやって来て、あっさり返り討ちにされました。
その後若発進。
モネとルフィも戦っていないので、モモはヴェルゴと戦わなかったサンジが見聞色の覇気で見つけてたりします。

********


ちょっとオマケ↓


〜朝食前のダイニングで〜


「トラ男!そのレディの好物は何だ?サンドイッチは好きかなァ〜〜〜!!」

「………好物は肉」

「おっ!気が合いそうだなァ!!でも!おれの肉はおれのもんだぞ!!」

「特に海王類……見つけたら喜々として仕留める」

「益々ルフィと気が合いそうね」

「っつーかそいつ本当に女かよ…」

「ヨホホホ!頼もしい女性じゃないですか。あっ頼めばパンツ、見せてくださいますかね?トラ男さん」

「…」

「んんん〜〜〜ワイルドな女性も素敵だァ〜〜〜!!!」


********

ちなみに上からサンジ、ロー、ルフィ、ロー、ロビン、ウソップ、ブルック、ロー、サンジでした。
せめて穀類とか炭水化物系も好物に入れてやればいいのに、乙女心がわからないキャプテン。
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