OP連載
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好奇の目が嫌で、ローに引っ付いてなるべく身体を隠そうとするシノを何とか横に座らせ、ローは警戒心剥き出しのシノを紹介した。
「こいつがさっき話したおれの仲間、シノだ」
「へーこいつがー!!」
「こいつがあの海王類を倒すっていう…」
「肉好きの…!」
「可愛い嬢ちゃんじゃねェの!」
「ヨホホホッ!誠に可愛らしいお嬢さんで…パンツ、見せて下さいますか?」
「あんたは黙ってなさい!」
「いだっ!!ヨホッ……ホホホ…」
海王類を倒す肉好き女…
確かに合ってはいるが、シノはローを咎めるように見上げた。
「…何話したの」
「事実だ」
先程あれだけ知らない人だと驚いていたシノは、余所の海賊船で緊張しているせいもあるのだろう。
頬をふくれさせつつも、ローの腕にぎゅっと抱きついて離れない。
何せ、今までこれほど長くローたちと離れたことなど一度たりともなかったのだ。
ローもそれをわかっているから、好きにさせている。
見知らぬ場所で、親にくっついて離れようとしない子供のような仕草に、ロビンは頬を緩めた。
「ふふっ仲がいいのね」
さっきのあれのせいか。
はたまた、今度は腕に押し付けられている、とても子供とは言えない柔らかさのせいか。
なかなか顔色を変えないローの頬に、若干の赤みが見えるのがまた、何とも微笑ましい。
ロビン以外にもその様子に気づく者は、ニヤニヤと少々ローにとっては癪に障るような顔をして見ていた。
それらを流しつつ、一部羨み妬む視線には一睨みで答えていたローに、警戒ばかりだったシノが、心配そうな顔をして袖を引く。
「ねえねえキャプテン」
こっそり言っているだろうに、注目の的なので全員が聞いている。
シノは居心地悪そうにしながら、ブルックを見ていた。
「……あの人の皮、キャプテンがとっちゃったの?寒そう……」
「違う」
「えっ私の皮…トラ男さんが持ってたんですか!?」
「んなわけあるか!!オメーも恐ろしい勘違いするな!!」
「っ」
ウソップのツッコミで、シノは少しだけローの腕に隠れる顔の面積を増やした。
「トラ男君の能力なら充分有り得るのではなくて?そう思ってしまうのも仕方がないわ」
心配してくれるなんて優しい子ね、と言わんばかりに微笑むロビンに、ウソップはげんなりする。
そうだった。
一味で最も恐ろしい想像を口にするのはこいつだった…!と思い出したせいだ。
「ヨホホホッ!!ご安心くださいお優しいお嬢さん!私…死んで骨だけブルック、暑さ寒さは感じませんので!」
胸に手を当て礼をする明るい骨に、シノは小さく頷いた。
生身の人間よりは、骸骨の方が親しみやすいらしい。
一味は人見知りしながらも、骸骨のブルックにも怯えない少女に不思議さと好感を抱いていた。
ローはわいわいと続きそうな会話を切り、本題へと移らせようと口を開く。
「こいつは数ヶ月ドレスローザで情報収集をさせていた。これからの作戦を決めるにあたって、報告を兼ねて話し合いをする必要がある」
悲しいことに肝心の同盟相手の船長からは、既に鼻提灯が出ていた。