OP連載
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スータと同じように懐から電伝虫を出したシノの頭を、ローが無言で叩く。
乱れた髪を整えていると、主の復讐に燃えたスータがローの頭に爪を立てて、鬼哭の柄で打たれて床に落ちたので、回収して膝に乗せた。
「多分ドレスローザから連絡だからちょっと待ってて」
シノは受話器を取った。
そのまま受話器をテーブルに置いたものだから、この場にいる皆にも会話の内容を聞かせるつもりだろうと待つ一同であったが、電伝虫は何も言わない。
シノも無言である。
「何だァ〜?何も聞こえねェじゃねーか」
「連絡って事はまだ誰か協力者がいるの?」
あの人見知りで?と首を傾げるナミ達の疑問に答えたのは、プルプルと打たれた痛みに震えながらチョッパーの帽子の上に移動してきたスータである。
「キュ…キュッキュ(あれは…ドレスローザのコウモリ族からだ)」
「あ、やっぱり」
人間じゃなかったのね。
麦わらの一味が大いに納得した。
「キュイキュイ。キュウ(人間の事はよくわからぬが、電伝虫は盗聴の危険があるとか。ならば丁度いいと、連絡は超音波でと姫様が)」
「なるほどね」
「チョッパーみてェに動物の言葉がわかる奴も世の中にはいるからなァ」
ロビンが頷き、ウソップがチョッパーを見る。
「おれ、ちっとも聞こえなかったぞ……」
言ってることがわからないのはまだしも、超音波自体は犬だって聞き取るくらいは出来るのである。
それが全く聞こえないなんて…とガクッとなっているチョッパーに、スータがすかさずキイキイとフォローを入れる。
「キュッキュキュ。キュイキュキュ……キュ、キィキュ(気を落とす事はないですよチョッパー殿。本来ならチョッパー殿には聞こえているはずなのです。それがないと言うことは姫様が音が入らぬよう操作されているという事……せっかくの盗聴対策も、周りの声が入ってしまえばあなた方の事が知れましょう)」
「そっそうか!!」
「へェ。あの嬢ちゃんもなかなか考えてんじゃねェか」
「チビのくせにな」
「キュイキキ!!キュイキュ!!(おいそこのマリモ!!聞こえているぞ!!)」
「「「「ブフッ」」」」
「ああっ!?」
「おおおおれが言ったんじゃねェぞ!!…プフッ!」
ならせめて笑いを抑えろよ。
ゾロとてチョッパーの口を借りて言った事くらいわかっていたが、その抑えきれていないニヤケ面がムカつくのである。
「キュキュキュッ!!キイ…キューキュー(姫様はとうに成人を迎えた立派な淑女だ無礼者っ!!まったく…日々求婚の列が絶えぬのだぞ)」
「あの可愛さじゃ無理もねェ……!!おれも参列していいかなァ〜〜〜!!!」
ちなみに参列者、尽く人外だったりする。
「え」
「ちょっと待って」
「おやまあ!ということはアレですか?合法ロリという事ですか?」
「ブルック…あなたもう少し言葉を選んだら?」
「合法ロリ巨乳ですね。わかりまッグッキャアア!!!」
「下品よ」
「いっいだっ痛いですロビンさん〜〜!!」
クラッチされた老体の腰が強制イナバウアーされる中、サンジを除いた一味はシノを二度見三度見してしまう。
すると、通信が終わり神妙な面持ちだったシノと目が合い、全員が全力で目を逸らした。
麦わらの一味の会話の内容は遮断していた音の内側にいたローにも聞こえておらず、不審そうに彼らを見やる。
しかし、今気になるのはそれよりも、知らせを受けてから表情を強張らせるシノの方だ。
「どうした」
音の遮断が解除され、ローの声が彼らの耳にも届いた。
「…キャプテン……ドフラミンゴが…」
スータがシノの肩へと戻る。
「七武海、辞めてないんだって」