OP連載

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麦わらの一味がドレスローザに上陸した頃、ドレスローザ島内ではすでに彼らを迎え撃つ準備が整えられていた。
ヴァイオレットこと、元王女ヴィオラの能力により、ドレスローザに上陸する前から行動を見張っていたことによる優位性を、ドンキホーテファミリーは誰一人、疑っていなかった。





『―――アイツが……ドフラミンゴが七武海を辞めてねェんなら…コイツを返してやる義理はねェな』

『シュロ…ッ!?』

『そうね…でもコレ、囮なんでしょ?』

『コレって言うな!!この馬鹿おんにゅわっ!!!』

『うっさい!ちょっと黙ってなさいよ』

『顔が有りえないくらい伸びてんぞ…』

『囮しか使い道がないのなら、適当に放り出せばいいのでは?』

『ヒュッヒュロ…ッ!?』

『ロビンさんもなかなかに辛辣…ヨホ!』

『だが、シーザーの姿がグリーンビットになけりゃ、敵も怪しむんじゃねェのか?』





「何ィっ!!?」


ローとシーザーの姿を見つけて飛んできたドフラミンゴは、服だけを残してふわりと消えた2つの影に表情を険しくした。
まるで花びらが舞うように軽やかに、身体だけを失ったようだった。
海軍大将藤虎が浜辺に姿を見せる中、ドフラミンゴは2人がいたはずの場所へと降りる。
そこには、取り残された衣服と変装用のマスク。
至近距離の見知った相手ならいざ知らず、遠目になら充分に誤魔化せるだろうレベルのそれは、麦わらの一味で最も手先が器用だと自負する狙撃手の作品である。


「こんなものでおれを騙そうとは…ロー!!」

『意外と騙せるもんだな』

「ロー!」


怒りに任せて掴んだ衣服を放ると、ぽとりと落ちた電伝虫。
それはニヒルなまでに生意気に口角を上げ、向こう側で受話器を取っているであろう男の表情を思わせ、ドフラミンゴの神経を逆なでする。


『おれも驚いているよ……まさかお前が、こんな手に引っかかるとは』

「シーザーはどこだ?まさかお前…今更返さねェなんて言うつもりじゃあるまいな。いくらクソ生意気なガキのお前でもよロー…取引に嘘を持ち込むような馬鹿じゃねェはずだが…」


もしや海軍大将の動きに気がついたか。
現七武海のローはともかく、七武海を辞めたはずのドフラミンゴが一緒にいていい相手ではない。


「(海軍の動きに気づき、現状に不信感を抱いて距離を取ったか…いや、ローは確かに狡賢く用心深いガキだが、何かがうまく行き過ぎている……ヴァイオレットがおれを裏切るとも考えにくい)」

『最初に嘘を持ち込んだのは一体どっちだか―――なァ?』

「!…何のことだ?」

『そっちこそ、シラをきり通せると思っているような馬鹿じゃねェはずだがな……現王下七武海にして、ドレスローザの国王さんよ』

「フッフッフッフ……!!バレちまったか!さすがはおれの見込んだ男なだけはある…!!一体どうやってわかった?」

『さァな』


これは、事前に何らかの仕込みをしていたとしか考えられない。
随分周到に事を運んだものだ。


「……何か、おれのあずかり知らんピースが紛れ込んでいたようだな…この国に……」

『……』

「まあいい…交渉が決裂するのも仕方ない」


『随分物分りがいいんだな』

「ああ。何せ万策尽きたようなもんだ!おれはもうお前にシーザーを返してくれと…そう…お願いするしかねェのよ…!!」


『フン…お願いって態度じゃァなさそうだが』

「そうツレないこと言うんじゃねェよロー!どうせシーザーはこの島にはいねェんだろ?ならもう―――てめェらを見つけて一人一人に聞いて回るしかねェもんなァ!!!」


ローと麦わらの海賊同盟の狙いがカイドウとの衝突、ひいてはドフラミンゴの首にあるなら、奴らの狙いは工場だ。
工場破壊のため、このドレスローザには少なくとも、ローと麦わらの一味が半数はいるはずだ。
麦わらの一味はトータルバウンティや知名度、功績はともかくとして、いち海賊団としてはごく小規模なグループだ。
工場破壊のために乗り込んだメンバーの中には、メラメラの実を欲しているはずの船長も必ずいる。
そして、船長さえ盾に取れば、麦わらの一味が連れているはずのシーザー、モモの助も手中に収めるのは容易い。


「知ってるかロー。麦わらの一味はどうやら四皇の1人、ビッグマムとは折り合いが悪いらしい」

『…それがどうした』

「いやおれは今、お願いする立場だからな。いいことを教えてやろうって親切だよ…さっき偶然にもビッグマムの船が見えたってなァ。奴らがお前の同盟相手の船を見たらどうするか…」

『だとしてもお前には関係ねェ。シーザーは渡さねェ。交渉は決裂だ。じゃあな』


ガチャ。


「フッフッフッフ………!!!」
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