OP連載

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その頃、グリーンビットの地下には囮役であるロー、ロビン、ウソップ、スータがいた。
スータの口利きにより、以前からコウモリ族の姫と接触を持ちたがっていた小人族の国、トンタッタの地下集落に身を寄せていたのである。
先程ドフラミンゴを騙したローとシーザーの抜け殻は、ハナハナの実の能力でロビンが着ていたものだった。


「コウモリ族の姫君ご一行におかれましては、ようこそなのれす!」

「「「「ようこそれす!!」」」」

「うむ!くるしゅうない」


とふんぞり返るウソップ。
しかし、肝心のシノはおらず、こちら側の指揮官であるオモチャの兵隊も今はドレスローザにいるという事で、お互いにトップがすれ違いの形となっているが、そこは問題ない。


「お前達は地下通路を掘っていると聞いたが…」

「「何故それをーーっ!!?」」

「キュイキュ(姫様はお前達の動きにも日々気を配っておられたからな)」


ちなみにスータの言語は、トンタッタ族に仕えている動物や虫達によって翻訳されている。


「さっさすがれす…!」

「彗星のように現れ、ドフラミンゴの脅威によって秩序を失いかけていたグリーンビットを瞬く間に平定したというコウモリ族の姫君のご高名は伊達ではなかったのれすね!!」

「キュ(うむ)」

「……」


黙るローの内心をどう解釈したか、ロビンが「フフ」と笑う。
ローはここにきて、シノのグリーンビット内における影響力をまざまざと見せられて(あいつこの数ヶ月一体……)と、シノのいた空島を彷彿とさせられて微妙な気分だった。


「あなたのお姫様、なかなかすごい娘みたいね」

「フン」


これからロー達は、トンタッタ族に交渉して地下通路を通り、ドフラミンゴに悟られずにドレスローザに戻る手筈だ。
あわよくば小人達の協力を得られればという考えも勿論あったのだが、そうすると作戦が成功したとしても、小人達、ひいてはグリーンビットにまでドフラミンゴの怒りが向けられてしまう可能性がある。
それを厭ったシノにより、本作戦では地下通路の使用のみを願い出るつもりであったのだが…


ノーランドの像を発見したウソップがいつものノリでとある嘘をついてしまい、驚きの信じやすさを発揮した小人達によって、むしろ彼らの方から協力を申し出る事となってしまった。
伝説のヒーローの帰還に喜び咽ぶ小人達へ『それは嘘です』とは、とてもじゃないが言える雰囲気ではなかった。


「「「「ウソランドー!!!」」」」


「ウソップったらまた……」


しょうがないわね、といった様子のロビン。
ローは言葉も出なかった。
ノーランドの子孫などではない、と嘘を暴露すれば、地下通路の使用どころかこの場で小人達と全面対決となる事は必至であった。



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―――またまた所変わり、今度はドレスローザ王都である。
工場破壊チーム…に見せかけた、実質囮チームその2である、ルフィ、ゾロ、フランキー、錦えもん達は、コロシアムへと来ていた。
錦えもんの能力で、ロー達と同じく微妙な変装をしている。


「エース……!!」

「各国の腕自慢か…面白ェ!」

「せいぜい目立てよ。おれはこのまま地下工場へのルートを確保しておく」

「では拙者は王宮の地下へ…!」

「おう!」

「気ィつけろよ」

「お前こそコロシアムの中で迷うんじゃねェぞ」

「誰があんなシンプルな建物で迷うか!?」

「いや、お前いつも迷ってるぞ」


だからこそ、どこへ行くかわかったもんじゃない好奇心旺盛な船長と、どこへ迷いこむかわかったもんじゃない剣士は引率の必要がある、と満場一致でフランキーが案内を請け負ったというのに。
他人事のように「にしししっ!」と笑う船長と、ぷんすかしている剣士は全然わかってなかった。

それから「かたじけない」と一言残し、錦えもんはカン十郎のいると思われるスクラップ場を目指し、王宮地下へ。
フランキーはルフィとゾロが受付したのを確認すると、一緒にコロシアムに入り、そこから地下を目指した。


ドフラミンゴの言っていたルフィの欲しい物とは、亡き兄の形見の能力”メラメラの実”であり、それをコロシアムの優勝賞品としていたのだ。
これを聞いたルフィはローに一言「すまねェ」と謝りながらも、諦めようとはしなかった。
そしてシノから「メラメラの実を手に入れるために、今コロシアムには各国から腕自慢の出場者が…」と聞いて闘志を燃やしたゾロがそれに続いた。
どちらにしろ、ロー達がグリーンビットからドレスローザに合流して工場を破壊するための目眩ましとしては悪くなかった。
コロシアムにはドンキホーテファミリーの幹部が必ず出ている。
ドフラミンゴの事だ。
メラメラの実を、素直に他人にやろうなどとは思っていないに違いない。
だとすると、ルフィとゾロ以外にも強敵を篩い落とすために幹部を数人投入してくるだろう。
そうすれば、その分工場へ回される幹部が減る事になる。
海軍は言わずもがな、工場はおろか、地下交易港にはドフラミンゴが寄せ付けるはずがない。
となれば、充分戦力の分散と同時に、ドンキホーテファミリーとしては、地下での派手な争いは絶対に避けたいところ。
海軍大将にでも嗅ぎ付けられれば、ドフラミンゴは今度こそ七武海としての立場を失いかねない。
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