OP連載

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コロシアムの決勝に勝ち進んだのは結局、ルーシー、バージェス、レベッカのみとなっていた。
ゾリ…の替え玉候補だったコアラが間に合わなかった為、その分が空席となったのだ。


それを見ていたドフラミンゴは、ルフィを残して王宮に攻め込んでくるのはロロノアとヴァイオレットである、と予測を立てていた。
ヴァイオレットの苦しい言い訳など、ドフラミンゴは端から信じてはいなかった。

そのため、マッハバイスを大会からオモチャの家へ遣すのを躊躇いはしなかった。
今だけは、何としてもオモチャの家に警備を集中させる必要があった。


「フッフッフッフ!まったく考えの読めねェ男だぜ………藤虎」



シノを捕獲した後、ともに王宮へ来たかと思えば、潜伏した一味の捜索だとすぐに出て行き、



「何故お前がそこに拘るのかは知らねェが…そこは絶対に通さねェよ」



『軍隊は市民の被害を最小限に抑える為に戦うべきだ』

『”麦わら”の目的がお前さんの首だとするなら大きな破壊も厭わねェでしょう』

『だったらそれを止めるのがあっしの”正義”』


あんな事を言っていた盲目の男が、どこから何を耳に入れたか――――


『あんたは……その後でいい…!!!』



オモチャの家の入り口4箇所に、街中の海兵の大半が集中していた。



「海軍大将といえど……七武海である若の治めるこの国で好き勝手されちゃァそりゃ、越権行為ってもんじゃねェのかねェ?」


ドンキホーテファミリー幹部セニョール・ピンクは海軍相手に一歩も引かずに胸を反らすと、チュパッとおしゃぶりを鳴らした。
黄色い悲鳴が上がる。


「あっしらは何もそちらさんのお国で何かしようだなどとは思っておりやせん………ただ…市民の皆さんをお守りする為にここにいるだけでござんす」

「それなら市街地で存分にやってくれ。大歓迎だ」

「それも勿論。ですが……」



七武海とその幹部ファミリーを相手に、無残にも打ちのめされた小さな吐息の最後の言葉は、聞き逃す余地もなく不思議とイッショウの耳へと直に届いた。



『……オモチャは、忘れられた人間……ドフラミンゴの…奴隷……』



「この辺りにもお守りすべき皆さんがいらっしゃるのではと思いやして」



『――――どうやら息はあるようですね』



「こう見えて……あっしの目は節穴じゃござんせん………!!」


「!!」



セニョール・ピンクの表情が僅かに変わる。
オモチャの秘密の漏洩―――それがひどく現実感を帯びた。
ピンクはともかく、部下はもっとわかりやすい。
息遣い、仕草を読んだ藤虎は、確信した。

この国の、深い闇の一端を今、垣間見ているのだと。
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