OP連載
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「あの!シノという方は大丈夫なのれすか?私を助けるために……!」
「キュルゥ」
燕の背に乗ったマンシェリーは、王都の空を飛びながら零れそうな涙を必死に耐えていた。
「それにひどいお怪我を……っあのままじゃ危ないれす!私やっぱり」
「キュルル!」
「燕さん…」
彼女の仲間だと思われる燕の厳しい声に、マンシェリーは言葉を失くす。
マンシェリーは、自分を助けに来てくれるのはきっとレオだと信じていた。
それだけが、あの寂しい部屋で泣き暮らしていたマンシェリーの唯一の心の慰め、拠り所であったのだ。
しかし、現実に彼女を助けてくれたのはシノという見知らぬ海賊だという女の子。
「あの方はいい人……なのれすね…」
だって、燕さんの目は、こんなにあの人を心配してる…
「キュルー!!」
あっという間の出来事で、詳しく言葉を交わせたわけではないけれど、シノは言った。
トンタッタの皆は、工場にマンシェリーがいると思っている、と。
そしてマンシェリーのために、捕まえられた皆が騙されて働かされているのだと。
仲間とマンシェリー、ドレスローザを救う為に、小人達が今、総力を結集していると。
「行きましょう燕さん!!今度は…私がみんなの為に頑張る番なのれす!」
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「!あったわ麦わら!!」
「よしっ行くぞ!」
シノの海楼石の鍵を手に入れたヴィオラが保管庫から出てくる。
その横をオモチャの兵隊が走り、立ちはだかるドンキホーテファミリーをルフィとともに尽く打ち倒して進でいく。
「お前の能力便利だなー!海楼石の鍵といい、シノがどこにいるかもわかるんだろ!?」
「っええ!」
突入早々現れたピーカはゾロに任せ、鍵を入手したルフィ達は上を目指していた。
ヴィオラの”目”には、シノが逃げ出したところまできっちり映っている。
「彼女も監視の目を抜けて脱出しているみたい。このまま行けばいずれ鉢合わせ………どういう事?」
「どうしましたかヴィオラ様!」
「シノの動きが…どこへ向かっているの……?まさか―――!!?」
波打つ王宮を飛び越えながら、ヴィオラはハッと口元を隠して目を剥いた。
飛ばした”目”がシノを追い越し、シノの追う男も追い越し、その先にいたのは……!
「麦わら!!行き先変更よ!」
「あ?上じゃねェのか」
「そうよ!でも…もっと上!ドフラミンゴに見つからないよう……―――おしおき部屋へ!!!」
早く!!とヴィオラが足を速めたのとほぼ同時刻、2発の銃声が王宮の奥深くで響いた。
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コロシアムにいるはずの麦わらの侵入を許し―――苛立つドフラミンゴの耳にも、その銃声は届いていた。
「何だ……あっちは………―――まさか……」
「若?」
「バッファロー!ベビー5!しばらくここは任せる」
「若!?」
何故そこを狙う―――ヴァイオレットにすら気づかせなかった存在に気づきやがったのは
「……どこのどいつだ?」
スートの間から、糸をかけて一気に王宮の上を飛び回るドフラミンゴの、糸を引いてもいない指が曲がり、音を鳴らす。
ベビー5達を向かわせてもよかったが、自分のほうが速い上、何かの胸騒ぎがした。