OP連載

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「”麦わら”!!」

「あ!!!キャベツ!!!」


その名のわりに、全然緑色じゃない男の本来の名はキャベンディッシュである。
シノは新手かと思ったが、ゾロとルフィには彼との面識があるようだ。


「”海賊狩りのゾロ”に……君は”音凪のシノ”か…」

「…(こしょこしょ)」

「んぁ?」


キャベンディッシュに名を当てられたシノが、ルフィにこそこそと話しかける。
彼はそれを見て、実に彼らしいプラス思考な発想に思い至った。


「もしや君…いや、無理もない……この美しい僕を前に恥じらうあまり直に言葉も交わせないか……!!」

「なに言ってんだ?キャベツ」

「しかし思い煩う事はない!!君は運がいい!!このスターと間近に出会う幸運を称え、サインでも何でも書いてやろうではないか!!!」


いつファンに会ってもいいようにだろうか。
どこに持っていたのか不明の色紙とペンを持って彼が振り返った頃には、砂煙と瓦礫しか残されてはいなかった。



「む〜ぎ〜わ〜ら〜〜!!!」

「うわ!」

「(また出た!)」


無視して立ち去られるなどという屈辱、キャベンディッシュが許すはずもない。
ダッシュで追いついた。


「君は僕に何か言いたい事があるんだろう!!?」

「!?」


必死の形相が至近距離に迫り、対人能力が欠如しているシノの顔が引きつる。
シノはただ、ルフィに(この変な人知り合い?)と尋ねただけだったのに…


「しっ…知らない人はイヤ!!!近寄らないで!!」

「っぐふぉ!!」


ペンと色紙で手が塞がっているキャベンディッシュの顔に、海楼石フルスイングが決まった。
彼は能力者ではないので石そのものは脅威ではない。


「海楼石付きにしちゃァ見事なもんだ」


倒れていくキャベンディッシュを後に見やり、ニヤと人の悪い笑みを浮かべたゾロ。
面倒な手合いが遠ざかり、スッキリしたらしい。
ルフィはゼエハアと息をするシノに、目を丸くする。


「お前海楼石ついてんのに元気だなァ」

「そっそれほど、でも……はァ…はァ…」

「そうか?…辛そうだぞ」


そんなにキツイんなら無理すんなよ。
元々重傷で、海楼石までつけられているのだから大人しくしておけばいいものを。

呆れながらも歩みを止めないゾロ達に置いていかれた形のキャベンディッシュはというと、起き上がって鼻から垂れるものを拭い、背後に不可視の炎を燃え上がらせた。


「おのれェ…っファンのフリをして欺き油断を誘うとは…!!やはり最悪の世代!!トラファルガー・ローのクルー!!!待てお前達!!」


「うおっ!何かキャベツの奴めちゃくちゃ怒ってんぞ!」

「寄らば斬る…」

「斬れんのかよ」

「君が」

「何でおれだ!!ナミかてめーは!?」

「あっはっはっは!!」


「何か知らんが楽しそうにしおって〜〜〜!!!」


目立ちたがり屋のキャベンディッシュは、仲間外れや無視が大嫌いだ。
それに、言いたい事は何も、文句だけではない。


「話を聞け!!麦わら〜〜〜!!!」
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