OP連載

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海楼石から解放された瞬間―――”エコーロケーション”の音波がドレスローザ全土を覆いつくした。
主の復活を肌で感じたスータの目が潤み、シノの肩にポツポツと染みを作る。


「ありがとうヴィオラ」

「おお!良かったなシノ!!」


シノはもう片方の靴もポイッと捨てる。
まだ笑みが残るヴィオラの表情が変わっていくのを見て、シノもヴィオラの言いたい事を察した。


「…シノ」

「うん……わかってる。ディアマンテ…だよね」

「ええ!」

「うん?」

「あいつがどうした」


感知能力では他の追随を許さない2人だけで頷き合っているのを、ルフィとローが問いただす。
シノはそれに「待って…」と言うと、少ししてヴィオラに告げた。


「…今……一番相応しい人に伝えたから大丈夫…『人間の体で負けやしない』って。だから、きっと…」

「ええ!!そうね…!」


誰の言葉か、この場で最も彼と繋がりの深いヴィオラは聞かずともわかる。
全幅の信頼で大きく頷いた。


「キャプテン。今王宮にいるのはドフラミンゴと最高幹部トレーボル、あと動ける幹部はシュガーくらい……他の幹部は一番近いのが3段目にいたグラディウス……その次がベビー5……他は市街地。海軍は”奇声糸(パラサイト)”の鎮圧とか市民の避難に専念してる……」

「何でそんな事さわかるんだオメー?」

「……海軍の邪魔はなさそう…メラメラの実をとった人…かな?と海軍大将が交戦中……あとはさっきのディアマンテだけど、あいつ空飛べるからそれで旧王の台地に向かってる」

「!!サボだ!!!」

「これは驚いたな……!!これもオトオトの実の能力なのか」


見知らぬ緑のトサカの質問には答えず、察しのいいキャベンディッシュも無視したシノの言う現状を、ヴィオラが引き継いだ。


「ディアマンテの方はこの国最強の剣闘士が向かっている…!!心配いらないわ」

「兵隊か!」

「ええ。ピーカは既にトラファルガーによって倒されているから、残る最高幹部はあと2人という事になる」

「そうか……なら話は簡単だな!麦わら!!」

「何だ?」

「ドフラミンゴは僕が討ち取る!!」

「「はァ!!?」」


ルフィとローの重なる抗議にも、キャベンディッシュは怯まない。


「君達は残りの最高幹部でも倒せ!!何ならそいつらも僕が倒してやる。人気と恩返しは譲らない!!」

「何言ってんだミンゴはおれがぶっ飛ばすっつってんだろ!!!」

「いやおれだ!!!そもそもお前らに持ちかけた作戦は遠回りにドフラミンゴを潰す手段だった…!!だが本当は……っ」

「……」


何か苦いものを噛み締めるローの顔……何度も目にしたそれを見ていたシノの目と、ローの目とが、まっすぐ向き合う。
逸らすことなく眉をひそめ、覚悟を決めた男の顔が、黒い瞳に映っている。



「おれもあいつに直接一矢報いたい!!!――13年前……おれに命をくれた恩人を……実の弟でありながら手にかけたあいつに……!!!おれは…!!この手でケリをつける……―――!!!!」



(――ああ……その人が、キャプテンの失った………きっと、ずっと、13年前から思い続けてきた大事な人なんだ。)


ルフィの方へ向いてしまったローを、それでもまだじっと目を離さないシノ。

そしてそんなシノの顔を見ていたヴィオラもまた、覗いてしまった彼女の心と符号する事実を噛み締める。
大事な人をドフラミンゴに奪われた苦しみは、彼女とてよくよく身に沁みていた。

シノは、己の手でけじめをつけようとしているローに触れ、思った。



「……私も……」

「キュイ?(姫様?)」



「見えたぞ4段目……!!『ひまわり畑』!!!」



「キャプテン……私も……!!!」



(私にも…つけなきゃいけない”けじめ”がある―――!!!)
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