OP連載

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途中、錦えもんとカン十郎がりゅーのすけから落下するというハプニングもあったが、りゅーのすけの決死の努力のおかげで、他の皆は無事に象へ登りきる事が出来た。


「りゅーのすけ……」

「りゅー…」

「……絵に…戻るのね…」


涙を浮かべるロビンに、りゅーのすけは荒い息のまま笑顔を作ると、スーッと地面に融けていった。


「「「りゅーのすけーー…!!!」」」


大変な思いで、自分達を運んでくれたりゅーのすけの喪失を嘆くルフィ達。
夕日と並んで浮かぶりゅーのすけの笑顔を背に、ローとゾロはしれっと先に進んでいた。


「茶番だ」

「ただの下手な絵だろ」

「ちょっとそこ座れてめェら!!!ここまで送って貰っておいて!!」


花を手向けるロビンの隣で手を合わせていたシノは、先行くローを小走りで追いかける。
するとすぐに、大きな門とやぐらが見えた。
誰もいないのを不審に思ったシノは、その先を探った。
やはり象の下で探った時のように、人の群れは森の中に点在していた。
その時はベポとの連絡が優先で町の様子まで探ったりはしなかったが、門の向こうに広がっているはずの町には人っ子1人いなかった。
…いるにはいるが、それは独断専行で突っ走っているルフィだけである。
更に詳しく探ってみると、建物の形がとてもいびつで、破壊された後のようだった。


「…キャプテン。町には誰もいない…ひどく破壊された跡がある」

「飛び越えなくても門が開いてる…開いてんじゃねェなこれは…」

「ああ…誰かにこじ開けられてる」


門から見える木々もいびつに折れ、破壊の跡が見てとれた。
これがベポの詳しく話したい事だったのかもしれない。



そして本来、ここで歓迎の鐘が鳴るはずであった。
シノ達はまだ知らないが、麦わらの一味は直接的にも間接的にもゾウの大恩人達だったからだ。
しかし、門にいるはずのバリエテは錦えもん達を巻き込んで象から落下しており、何の鐘も鳴らなかった。
結果、門を素通りしてきた一行を発見したミンク族、キャロットは不信感を強めた。
バリエテを倒してやって来た敵なのかと―――元々草木に隠れていた彼女に気づいていたシノ、それから彼女が向かってくる気配に気づいたゾロとローが刀に手をかける。


相手を買って出たゾロの太刀筋を避けたウサギのミンクは、その鋭い爪をゾロに振り下ろす。
それを刀で受け止めたまでは良かったが、そこから走る謎の電流にゾロが耐えていると、またしても何か大きな生き物がやって来た。


「やめるのだ!!キャロット!!そティアらはよいのだ!!!」

「え!?」

「わァ!!!喋る動物!!?」


大きなワニに乗った犬のミンク、ワンダは、くじらの森から”彼ら”の来訪を聞いて、急いで駆けつけた”王の鳥”だった。
くじらの森から出られないベポ達が、シノ達の事を島の住人に知らせる唯一の手段が、くじらの森と”クラウ都”を昼夜問わず行き来できる王の鳥達だ
くじらの森の住人がクラウ都に行けないわけではないのだが、今は昼。
そのほとんどが眠っていて、それでなくても起きているのは警備を含めた最小限しかおらず、ベポは定期的に訪れるワンダにその事を話した。
門にバリエテ(見張り)がいたとしても連絡しておくに越した事はないし、くじらの森にロー達を案内してくれるなら願ったり叶ったりだからだ。
それで慌てて来たワンダは、キャロットを止めて間もなく、くじらの森の侵入者(ルフィ)を追ってとんぼ返りしていく。


「ゆティア達を連行しているヒマはない!!指示に従え!!
 ここより右手”右尻(ウシリー)の森”を進み闇深き沼を左折!”右腹の森”へ行け!!ゆティアらの仲間の死体がそこに!!」


「「!!?えェ〜〜〜〜〜〜っ!!?」」


ただでさえ、ナミの服を着ているワンダに対しての疑念があったというのに、驚く一味にそれ以上の説明はなかった。
キャロットが後に乗った事を確認したワンダは、次にロー達に目を向けた。


「ベポの仲間は……ゆティア達だな!!」

「「!」」

「これから私達はくじらの森へ向かう!!来たければついて来い!!!」


シノがローを見ると、ローもシノを見下ろしていた。
彼女の言に今のところ位置的な矛盾はない、という意味をこめてシノが頷くと、ローにも頷かれたので後を追う。
彼女たちの進行方向は、ベポのいた位置(くじらの森)にまっすぐ向かっていたし、彼女の説明した、右腹の森のものだという道の先にも、確かに人の群れがあった。


「おいおいお前ら!!あんなわけわかんねェ奴らについてくのかよ!!!」

「シノの情報とも符号する」

「何かあったら断末魔みたいに叫んで」

「死ぬ前に気づいてくれんのかそれェ!?あいづら殺されだのがな〜〜〜!!!」

「死体が残っているという事は食べられてはいないという事ね…」

「そういう問題じゃねェ!!!フザけんな!!!」

「落ち着け……ぐる眉がいるんだ殺されるようなヘマしねェよ」

「そうさあいつらが簡単に死ぬタマか!!おれ達を動揺させ誘導するワナだ!!」

「――ええ全く信じ難いわ。ねえシノ…ナミ達がその”右腹の森”にいるかどうか確認する事は出来ない?」

「ちょっと待って」


右、そして沼、それから左……シノは目を閉じ、そこに集中している人々を感知した。
ミンク族ばかりのようだが……


「あ」

「どっどうした…!?」


逃げ惑う骨と、小さなタヌキ―――シノは口角を上げた。


「……骨の人とチョッパー君がいる。ちゃんと動いて生きてるよ」

「「おおっ!!!」」

「ナミとサンジは?」


ロビンの問いに、シノは少しだけ難しい顔をする。
同じ様な女性の形はあるのだが、仲間達とは違ってあまり馴染みがないので、動いていないといまいちわかりづらい。
何かもふもふしたものに顔を埋めてるし。


「……聞いてみよっか?」



砦にいたチョッパーが、突如聞こえた声と報せに喜び、マントを踏んでずっこけた。
慌ててナミに知らせようと、大きなもふもふに向かっていく。
…やっぱりあの女性で間違いなかったか。



「行くぞ」

「うん……あなた達の事はチョッパー君に伝えたから…犬の人の言うとおりに進んで大丈夫」

「マジか!?」

「ア〜ゥ!!やっぱなァ!」

「それなら間違いねェんだろうが…」


ゾロは、ワニの行った道を進んでいくシノ達の背を見ながら、あの”死体”という言葉に引っかかっていた。


「ありゃ何だったんだ…?」
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