OP連載
□47
1ページ/2ページ
嬉しい報せと再会に沸いたハートの海賊団の仲間達に程よく酒が入った頃、アルコールがちっとも顔に表れていないローが言った。
「そろそろ行くぞ」
「う〜〜っ!!まだ飲み足りねェよォ〜〜」
「仕方ねェだろ〜キャプテンが行くっつーんだから」
「あ〜この感じ…!懐かしィ〜」
ローのあの一言で中断となった宴が名残惜しい仲間達の足は、少し重い。
しかし、前を歩くローについていくにつれ、段々と足取りが軽くなっていくのは、ひとえに船長を愛するが故である。
離れていた分だけ、この傍若無人も嬉しく感じるらしい。
「これが調教というやつ…?」
「あ?」
何でも…と首を振るシノ。
飴と鞭だとか、放置プレイとか、そんなの考えてないったらないのだ。
ただ、皆好きだなァ…とは思っている。
何がとは言わないが。
「船団の件もだが…早めに話し合っておいた方がいい。しばらく身を隠せるはずだったここも長居できそうにねェからな」
「うん」
「「「「はいキャプテン!!」」」」
「皆嬉しそう…」
「そりゃそうだよォー!」
シノの呟きを拾ったのはローではなくベポで、シノは頭に、懐かしい肉球の感触を感じて頬を緩めた。
********
「そうだ紹介しにきた―――ウチのクルー総勢20人だ!!」
「+(プラス)私」
「「「「お見知り置きをォ!!!”麦わら”ァ!!!」」」」
決めポーズする仲間達の前、こっそりローの横でピースするシノ。
「おう!!」
「話があるんだ」
「んん」
「終わり!!?」
「だよねー」
目玉を出して驚くベポには悪いが、キャプテンてそんなもんである。
「ぞんざい!!」とブーイングするのに忙しい仲間達とは違って、シノはミンク族を観察するのに夢中だ。
ベポみたいな人(?)達がたくさんいるのである。
意思疎通の叶う動物達がたくさん…天国?
「ベポ君…ここ素敵…!」
「おれらぞんざいっ!!……っえ!?」
キラキラした目の妹分は、頬をぽーっと染めてベポの腕に半身だけ隠れると、嬉しそうに小さく手を振っていた。
誰と…と思って見てみると、そこにはベポと同じミンク族の女性達がいた。
気に入ってくれたようで何より…と思って再度妹分の視線の先を辿ると、そこには女性達――ではなく侠客団(ガーディアンズ)がいた。
「ベポの仲間か!?」
「可愛いなァ〜!いくつだ?」
「ガルチュー!」
「わァーーッ!!!ダメダメダメ!シノにはキャプテンというものがァーーー!!!」
「?」
ガルチューしようとする男達の壁になり、必死にそれらを押さえようとするベポを、シノが不思議そうに見ていた。
「……がるちゅ?」
って何だ。
「「「ガルチューさせろー!!」」」
「ダメ!!いいけどダメーー!!」
「「「いいならいいだろォ!?」」」
「ダメェーーッ!!!」
挨拶は悪くないけど!
けど!だめなのだ。
ベポはトラファルガー・ローという男をよく知っている。
理由はそれで充分だった。