くろいぼうし(真田長編)
□T.8/7出校日
1ページ/7ページ
*
じり返すような暑さの中、立海大附属中は夏休みの全校出校日だった。いわゆる夏休みの宿題を半分出しに来る日だ。
前日まで宿題に追われていた人も少なくないだろう。
私はかなり早くから計画的に宿題を終わらせていたので、宿題に追われることはなかったが、違う意味でこの日が憂鬱だった…
朝の8時00分。出欠をとる15分前に私は教室についた。
部屋に入るやいなや、私を見たみんなから出てくる言葉は同じだ。
「え、どうしたの?大丈夫?」
「うん。大丈夫といえば大丈夫。」
「というか、どうやって学校来たの?」
「あ、朝はお母さんの出勤と一緒だったから送ってもらったー」
そんな会話をして少し話した後、ゆっくりと自分の席につく。
すると隣の席で本を呼んでいた男子がそれを中断してまで声をかけてきた。
「お、おい、笹川」
「へ?あ、さ、真田くん。お、おはよう。」
隣の席になったものの、一向に話しかけられる気配がないから、急に名前を呼ばれて少々焦る。というか、名前は覚えててくれたんだね。
「うむ、おはよう…ってどうしたんだ、その足… 」
「あ、うん。実は夏休み中に部活でやっちゃって。病院行ったら、足首のとこが骨折してるって。」
「なるほど。それでギプスに松葉杖…というわけか。全く、たるんどる」
まあ、確かに多少、準備運動を怠ったといえばそうかもしれないからたるんどるという叱咤は割とあっているかもしれない。
「で、どれくらいで直るんだ?」
「えっと、病院の先生は全治で2ヶ月。ギプスと松葉杖がとれるのは1ヶ月だったかな…」
私がそういうと、なら2学期に入って少ししたくらいにとれるんだなと真田くんはいい、再び本を読みはじめた。