ニュートリショニスト!(幸村連載)

□3.mission?乾汁の情報を掴め!
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寒い季節が終わり、桜が満開になった新年度、俺は病室で進級を迎えた。

入院中も院内学級で授業を受けることができるので勉強面では問題はないが、やはり寂しいな……。


そんな中のある日の午後、俺のもとに真田が見舞いに来た。新入部員の仮入部期間が終わり、正式入部後1週間が経過した。今日は1年生の正式入部後初めてのオフらしい。



「幸村、身体の具合はどうだ?」



「真田ー☆来てくれたんだ(゚∀゚)」



俺は真田がベッドに近づいてきたタイミングで、真田の腕を勢いよく引っ張り思いきり抱きついた。



「ぐっ…はっ」



「……具合はね、悪くないんだけど、とにかくさ…寂しくてメンタルがどうにかなりそうだよ……。」



「さ、寂しいのはわかったから、とりあえず離れんか!!!」



ったく照れちゃって。(違う)
個室で誰もいないとはいえ、万が一、タイミングよく看護師さんが来たら誤解されるのでしぶしぶ離れる。
真田は友達としては信頼してるけど、さすがにそういう趣味はないし…。



「ったく。……一応は俺も、もう少し来てやりたいとは思ってるんだ。だが、いかんせん練習をおろそかにもできんし、学校も始まってしまったからな……。他の奴等にもなるべく見舞いに行ってやってほしいとは言っているが……。ああ、それと、忘れる前に渡しておこう。ちょっとした手土産だ。」



そういいながら真田は俺に、袋に入ったものを渡した。

受け取って中身を確認する。



って、え……?



なんか見舞いの土産らしくないものがいくつか入ってるんだけど…?


果物はまあ分かるとして……
他に入ってるのが常温で大丈夫なやつの牛乳とシリアル、あと落花生だ。


シリアルに牛乳かけて食えとでもいうんだろうか、意味がわかんない。
そして落花生…おつまみかよ。よし、ビールもってこい。未成年だけどな(`・ω・´)


……と、まあ、冗談はこれくらいにして……


「ねえ、真田。果物は手土産の定番だからわかるんだけど、なんで、牛乳とシリアルと落花生なわけ?」



「む?ああ、それは、マネージャーが言っていたからな。」



え?マネージャー……?
っていうことは……



「ん?一葉…?」



「ああ。幸村、お前…あいつに自分の病気の症状かなんかの話をしたのか?」



したのか?という質問に対してなら答えはYESだ。
でも、それでも3ヶ月くらい前だ…。



「どうやら、その話を聞いて以降、マネージャーなりにいろいろ調べたみたいでな……。まあ、難病ってこともあるし、調べるのに時間はそれなりにかかったみたいだが……少し前に分かったことを俺たちに話してくれてな。」



そのとき、病気の事を話し終わった後、彼女がなにやら考えていたのに合点がいった。
あの時はちょっと気になったくらいで深追いはしなかったけど……。



「それで、調べた結果がこうして手土産に反映されたというわけだ。果物はビタミン、ミネラルの補給に最適で、他の3つも基本はビタミンの補給だとか言っていたな…。運動にゅーろぱちー?系の症状は神経の病気だから、ビタミンはB群のB1、B2、ないあしん?がいいとかなんとか……。で、落花生はその3つのビタミンが多く含まれていると言っていたのでな、間食にでも食ってくれ。」



……

……

はあ……。
なんでそういうことしてくれちゃうのかな……



もう……。

あああ、こういう見えない気配りというの弱いんだよなあ……。だって、直接的な気遣いと違って見返りを求めていないのが容易にわかる……。


ヤバい……第一印象で一風変わった趣味を知って、完全に守備範囲外だったのに入ってきちゃったよ…。
俺の好みは健康的というか、見るからに活発で元気そうな子だったのに……。

まいったな……これは……。守備範囲に入ってしまった途端に興味がわくのは、単純な思考の男性ならではかもしれない。



「そういえば昨日、そんなマネージャーが青学に行ってきてだな、乾汁のレシピとやらを貰ってきたのだが、壮絶だったぞ。」



ひと段落したところで、真田が話を変えたので、俺もそれに合わせ聞く体勢に入った。
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