それでも君が好きだから


□若葉の心 深緑の心
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 昔から、僕には敵わない人が二人いる。長男のおそ松兄さんと次男のカラ松兄さんだ。
 おそ松兄さんはまず、長男だ。
 どんなに兄弟の意見がばらけても、兄さんが決定を下せばみんなそれに従う。
 それに腕っぷしも兄弟最強、基、近所で一番だと思う。成績はいつも下だったけど……頭は良い。でなければ記憶力が良いはずだ。いつも一夜漬けでテストで中間をキープしていたのだから。それにクラスのムードメイカーでもあったから、おそ松兄さんは男女に人気があった。
 カラ松兄さんは総合的に見ても頭が良い。苦手な科目は数学と英語で、この二つは平均より下か、ギリギリ平均で、それ以外の教科は満点だった。部活も演劇部にいたから自ずと人気があったし慕われていた。
 女装コンテストで優勝してしまったぐらい、兄弟の中では一番中性的かもしれない。
 僕はと言えば、これといった特技もなければ特徴もない。強いて言うなら足が一番早いぐらいかな。学生の頃はおそ松兄さんと一緒によくやんちゃをしていた。学校もさぼったりしていたし、喧嘩も一緒によくやった。僕の隣にはいつだっておそ松兄さんがいてくれたんだ。そして、カラ松兄さんも。
 兄さんたちはある意味ブラコンで、弟達が可愛くて仕方がないらしい。それは僕にもよくわかる。
 五男の十四松はメンタルが子供の頃から変わってないからある意味純粋で、兄弟の中ではマスコット的位置にいる。
 末弟のトド松は末っ子ならではの甘えん坊だったからやっぱり可愛がっていた。
 四男の一松は根が真面目で優しい性格だった。動物が大好きで、特に猫とすごく仲が良い。一番カラ松兄さんに性格が似ているのも一松かもしれない。

 だから気づいた。一松が、カラ松兄さんに想いを寄せていることに。そのせいで一松はカラ松兄さんを避ける様になったことも。何故気付けたかって?僕もカラ松兄さんを、ずっと見ていたからだ。僕だって、兄さんを好きなんだ。
 ずっと、ずっとずっと、想ってた。想うだけで良いと思っていた感情は僕の中で処理しきれないものにまで成長していた。
 カラ松兄さんが、誰かのものにならなければ安定していた。でも、僕は気づいてしまったんだ。カラ松兄さんも、一松の事が好きなんだって。カラ松兄さんはいつだって一松の隣に行く。一松が行かなくても兄さんから行くんだ。無意識にアイツを探して、見つけて、安心したような顔になる。
 一松のためなら嫌いな喧嘩も自分からやるぐらいだ。夕飯だって。一松の好みが優先になっていることも僕は知ってる。

 カラ松兄さんの世界は、一松が中心になっているんだ。


 
 
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