それでも君が好きだから


□宵に酔いても
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 いつも、除霊やお祓いの仕事はおそ松に交渉を任せているカラ松は今回の金額の多さに驚いていた。あくまでも、報酬は依頼主の感謝の気持ち分でなければいけない。貰いすぎても貰わな過ぎてもいけない。等価交換でなければならないのだ。でなければ、カラ松が体調を崩して倒れてしまう。この辺りのバランスをとることが苦手なカラ松はおそ松に任せていたのだが本当に大丈夫なのかと確認を取った。
 おそ松は金にがめつい。儲けられそうなら色をつけてもなんら不思議ではない。そう問いただせば、カラ松とするこの仕事に関しては絶対にそんなことはしないと言い切った。自分が寝込むのならいざ知らず、カラ松が寝込んでしまうなんてブラコンの自分に出来る筈がないだろうと胸を張られてしまう始末である。

 カラ松は、知る人ぞ知る霊媒師になっていたのだ。無論、いつも一緒にいるおそ松も例外ではない。おそ松で済むような低級な霊ならおそ松で済ませるし、自分に無理ならカラ松を通す。それが二人で決めたルールだった。
 除霊もお祓いも、する側は命を懸けてやるのだ。素質がある十四松をメンバーに入れないのは単純に二人の意見が一致したからだ。
 弟を危険な目には合わせない。と。

「と、言うわけで、今日はツケを払いに来たぜ!チビ太ー!!」
「ついでにそのままここで呑むからヨロシクー」

 一松は長兄二人を見ながらため息を吐いた。この二人が意気投合する=絶対服従になる。たとえ四人が異議を立ててもどうにもならない。それがこの二人なのだ。おそ松は力で捻じ伏せるしカラ松は精神で捻じ伏せてくる。逆らわない方が得策なのだ。

「お〜、お前らか。良いぜ、たらふく食っていきやがれぃ!!」

 六人で飲み食いをするといつもかなりの額になる。だからいつもツケて貰っているのだが今回はそれを全て払っても釣りがくるのだ。そのまま兄弟水入らずの飲み会へと発展した。元々はツケだけを払いに来た筈なのに、だ。
 一松は偶々、そんな二人と道の途中でばったり会っただけだったのだが……取りあえず残りの兄弟にLINEで連絡を入れて椅子に座った。一松が一番端に座ると、当たり前の様にカラ松が隣に座る。その隣をおそ松が座り、三人でビールを頼んだ。一松は自分が一番弱いことを知っているのでゆっくりと呑む。カラ松も弱いくせに、飲むペースはおそ松と同じだ。だから酔うんだと言ってやりたいが、復活するのも早いのでスルーする。


 
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