ごった煮


□誕生日だからって平和に過ごせる筈がない・2
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 俺の反応に居間の空気が少し固まっている。どうしてだろうかと顔を上げると、一松がなんとも言い難い表情で俺と、俺の隣に座ったカラ松を交互に見ている。
 俺が首を傾げていると、おそ松がヘラリと笑いながら俺の肩に手を置いた。

「ソラは、そっちの一松と仲良いの?」
「…え、なんで……」
「この状況で、真っ先に呼んだ名前が一松だったし……スマホを大事に持ってるし。そのスマホにはなんとなく、一松に似てる猫のストラップがついてるから」
「―――…べ、つに…仲が良いって、いうか……その…」

 付き合ってます。なんて言える筈はないし、さて、どうしようか。そう思っていると、俺の空気を呼んでくれたのか、トド松が手を上げて話し始めた。

「取り合えず、どうしてソラ松兄さんが僕達の前に現れたのかを整理しようよ」
「そうだね。その方が、ソラさんも状況を確認しやすいし」

 ツッコミ要員のサイバー松が筆記用具を用意し始める。十四松はニコニコと笑いながら俺のココアを眺めていた。俺は思わず微笑んで、ココアを譲った。十四松は嬉しそうに笑顔でそれを受け取ると呑み始める。可愛い。天使は何処に行っても天使なんだ……

「取りあえず、今日一日のソラさんの行動を把握しよう」
「あ、ソラで良いよ。同い年だろう?」
「そう?なら…まず確認。ソラも六子でいいのかな?」
「うん。長男はグータラニートでギャンブルが趣味のおそ松」
「うわぁ…そんなとこまで一緒なんだ」
「でも、凄く兄弟想いで――頼りになるよ。俺の事も、真剣に真正面から向き合ってくれたし…兄貴兼親友兼悪友って感じかな」
「…え?なにそのおそ松兄さん。メンタルイケメンってこと?」
「メンタルってか。普通に学生の頃はよく呼び出し告白されてたけど」

 俺がそういうと、六人が同じ顔で叫んだ。なんとなく、思っていたけど、もしかして今目の前にいる六つ子は『私』が知る六つ子なのだろうか。

「じゃ、じゃあ…僕は?」
「チョロ松?チョロ松は――暴君で悪童だったなぁ。高校入ってから優等生目指し始めたけど、結局真面目系クズってだけで根っこは変わらなかったかな。未だに酔ったら煙草吸うし…一言でいうと『元ヤンおかん』。現在就活中のドルオタ」
「そっちでも僕ニートなの?!」
「俺と一緒に良くにゃーちゃんのLIVE行くし、一緒にアイドルのグッズも買いに行く。アニメの話も良く話すよ」
「にゃーちゃん?!」
「まー、俺はそんなに興味ないんだけど……バイト先の関係でよくにゃーちゃんに逢うから、そのついでに」

 
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