この手はいつだって


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 俺は情報をくれた村人に礼を言いながら、その教会へ向かう為に来た道を戻ることにした。
 チョロ松の天気読みはよく当たる。早くしなければ濡れてしまうだろう。同じ宗派の教会なら良いのだが……
 そう思いながら、村の広場に着くと、村の子供たちと楽し気に遊ぶシスターの後姿が目に入った。

「チョロ松、シスターだ。彼女に案内を頼もう」
「え?!……昔はシスターなんていなかったのに」
「どうした?何か言ったか?」

 チョロ松が何か言った気がして振り返ったが、チョロ松は何も言っていないと言ってシスターの元へと向かう。子供たちと真剣に遊ぶその姿は、今は傍にいない俺達の守護天使を彷彿とさせた。彼女がもし、視ることが出来るのなら俺達の守護天使――十四松に逢わせてやりたくなった。きっとすぐに仲良くなると思う。

「すみませーん!!僕達、巡教している神父ですが…シスタ…!!」

 先に声をかけたチョロ松が、固まった。何故だろうとシスターを見ると、その可愛らしい姿に息を呑んだ。

「―――――へぇ、珍しいお客さんだ」
「………何故、貴様が………!?」

 チョロ松を視界に入れたシスターは楽しそうに口元を綻ばせた。その微笑みは、まるで東の国に咲く薄紅の花の様に可憐だった。シスターが身に着けている十字架は、赤と緑で出来ていた。よかった、俺達と同じ宗派の教会の様だ。

「初めまして、シスター。俺は神父のカラ松。こっちは双子の弟のチョロ松です。差し支えなければ、貴方が仕えるGodのHollyHomeに俺達を泊めてはくれないだろうか」
「……ほー?………あ、教会の事ですか?勿論、歓迎いたします。僕の教会はあちらです。案内します」

 シスターは尚も可憐に微笑んで快諾してくれた。チョロ松は慌てて俺の肩に手を置いてそれを引き留める。

「どうした、チョロ松」
「バカ、あれは人間じゃない!!悪魔だ!!」
「…悪魔がシスターの姿で十字架を首から下げれるわけがないだろう」
「―――――――でも、彼奴は……あの顔は!!」
「……どうした、チョロ松。お前、さっきから様子が変だぞ?」

 初めて来た村を嫌がったり、シスターをいきなり悪魔だと言ったり…いつもならしないことをするチョロ松に首を傾げていると後ろから、唐突に誰かに肩を組まれた。まるで昔から親しい友人の様に。


 
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