それでも君が好きだから


□交わらない、反対色
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「チョロー、今日のチラシ何処行ったー?」
「え?……ちょっと待ってね……はい。どうぞ」
「サンキュー…っと」

 さっきまで新聞を読んでいたチョロ松からチラシを受け取ったカラ松は今日の特売日を見ているらしい。此奴すっかり主婦だな。

「カラ松ー、俺炒飯が食べたい」
「炒飯?…他の意見聞いてからな。一松は?」
「何でもいい」
「十四はー?」
「俺はねー、から揚げー!!」
「ふむ……トッティーは?」
「何でも何でも良いよ?兄さんが作ったの全部美味しいし。でもサラダが食べたいな!」
「から揚げにサラダか!チョロは?」
「うーん……そういえば、この前ご近所から貰った果物、そろそろどうかにかしないとヤバくない?」
「……確かに、冷蔵庫入らない―――…」

 そう言いながら冷蔵庫に向かい、中身を見るために冷蔵庫を開けようとしたカラ松より先に、カラ松より冷蔵庫に近かった一松が冷蔵庫を開けてやった。何彼奴、両想いになった途端にいきなり優しくなったな。

「一応、カットしたパインがまだ残ってるね」
「じゃあ夜食に何か作るか。パインとって。今から仕込むから。あとイチゴとみかんもあったよね」
「…ん」
「あと、クアントローとって」
「……どれだよ」
「え?ドアのとこに小さいリキュール無い?オレンジのお酒だよ」
「ありすぎて判んないし…」
「えっとね……まって、説明するから」

 シンクに果物を置いたカラ松が恐らく開け放した冷蔵庫で悩んでいるであろう一松の元に向かう。俺達の場所からはどこに何があるのかはわからない。冷蔵庫は開けるとパテーションの様にキッチンが見えなくなる。すると洗濯が終わったサインの音が鳴った。洗濯物当番のチョロ松がそれを合図に「よっこいしょ」と立ち上がる。そして新聞紙を畳んで卓袱台に置くと居間を出てキッチンに向かった。

「――――?!」
「………?」

 何気なしに、二人を見たチョロ松が固まっていた。そして少し慌てて脱衣所に向かう。その少し後に冷蔵庫を閉めた一松と、顔を赤くしたカラ松がシンクに仲良く並んだ。なんで冷蔵庫で顔が赤くなって、一松は満足した顔してるんですかねー。あーヤダヤダ。居間の反対側では十四松とトド松が仲睦まじくイチャイチャするし……



(仲取り持ったのお兄ちゃんなんだけどなーーー?!)
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