ごった煮


□誕生日だからって以下略! 3
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 ツッコみ気質は空気を読むのが上手い。俺はトド松の質問に頷きながら一松から少し距離を取った。

「えっと、カラ松トド松。こっちが俺の世界の一松。一松、二人はこの世界のカラ松とトド松だ」
「……ども」

 俺の紹介に、一松が軽く会釈をする。そしてジッと俺とカラ松を見比べる。なんだろうと思っていると、何かに納得したのか一松は何度か小さく頷いた。

「…どうかしたか?」
「いや……トッティがよく『カラ松兄さんが姉さんだったら』云々発言するじゃん。此処のカラ松とアンタを見比べたら確かにそうだなって思っただけ」
「「は?」」
「カラ松は、うん……女らしい」
「へ?!何処が!?俺はいつも常に男らしさを研究してだな?!」

 嘘だろ?!前世が女で、確かに思考回路も女で物事の尺度が女目線だけどそれを悟られない様にっていつも、いつも必死で……!!

「俺、女々しいののか…?」
「いや、そうじゃないよ。ごめん、傷つけるつもりはなかったんだけど――…うーん……なんて言ったらいいのか……カラ松は、丸いんだよ。こっちのに比べると」

 顎に手を置きながら言う一松に俺とカラ松はお互いに顔を見合わせた。そして同時に首を傾げる。けれど、以前カラ松が俺に対して『妹の様だ』と言ったことを思い出した。あの時も、カラ松は上手く口で説明できないと言っていた。…は!!まさか体型か?体型なのか?!

「筋肉の量は確かに違うけど、太ってないぞ!!柔軟だって毎日やってるから体は柔らかい自信あるからな!!ホラ、補助なしでY字バランス出来るだろう!!」
「――スゲェ!!本当に柔らかい……って、そうじゃねぇよ!!性格が丸いって意味だよ!!」

 いつもの調子で話していると、小さく笑う声が聞こえてきた。トド松かとも思ったのだけれど、相手はカラ松だった。楽しそうに、それでいて寂しそうに笑っている。

「二人は、本当に仲が良いんだな……」
「――…カラ松」
「カラ松兄さん……」

 眩しそうに俺と一松を見るカラ松に、俺は声を失くした。カラ松の気持ちが痛いほど判るからだ。俺も、十四松に良くその目を向けていた時期がある。本当に好きなんだな……どうにか、したいな。でもなぁ、こっちの一松の気持ちを確かめないと行動には移せない。どうしたものかなぁ…
 一松の隣で悶々と考えていると、一松が俺の袖をクイクイと引っ張り状況説明を求めてくる。こっちのトド松とカラ松を見た後、俺は一松に聞いてみた。

「一松、ちょっと聞いていいか?」
「…なに?アンタが俺に聞くなんて珍しいね」
「一松のことだからな」
「?」

 
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