Bluebird
□005 もやもや
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どうしても心のもやもやが晴れないマルコは、翌日街へ出歩くことに決めた。
ブラブラ歩いていると、ある雑貨屋が目に留まり、中へ入った。
店の中を見て回ると、見覚えのあるネックレスが視界にとまった。
「そのネックレス可愛いでしょ。彼女さんへのプレゼント?」
「いや……。」
声をかけてきたおばちゃん店員を軽くあしらいながら、マルコは華乃が身につけていたそれを手に取る。
「この間も可愛い女の子二人組がそれを買っていったんだよ。」
華乃とレイのことだな…とマルコは適当に話を聞き流していたが、店員は構わず話し続ける。
「そうだ、店から出た後にその子達ね、変な男に絡まれてたんだよ。」
「…は?」
「そしたらそこへだよ、王子様が現れたんだ。」
王子様…?
気付けばマルコは、その店員の話に聞き入っていた。
「いやー、男前だったね。あんたには負けるかもしれないけどさ。」と言う店員に、いいから続けろよい、と促すマルコ。
「悪いね。チンピラ達を追い払ったその男は、女の子達と仲良くなったみたいでね。向かいの喫茶店に入っていったんだ。」
「それからどうなったんだよい。」
「そこからは知らないさ。まぁ、私なら間違いなくその男に惚れてるね。」
店を出たマルコは、華乃の様子がおかしい理由を理解した。
華乃は、そいつに惚れたんだな。
イゾウの言った通りかよい…。
マルコは船に戻り、レイの元を訪れた。
「あら、どうしたのマルコ。」
「華乃のことなんだがよい。」
マルコはレイに、店員から聞いた話を告げた。
「華乃はそいつに惚れてるのか?」
「まぁ…そういうことになるわね。」
するとレイはクスッと笑い、「気になるの?」とマルコに聞く。
「変な男じゃねェだろうな。」
「過保護ねー。大丈夫、彼は優しい人よ。」
「妹を心配して何が悪ィんだよい。」
「…妹、ねぇ。」
意味深に笑うレイに、「聞きたかったのはそれだけだよい。」と言ってその場を去ったマルコ。
レイは楽しそうにその後ろ姿を眺めていた。