火拳と私と。

□001 新学期
1ページ/3ページ

桜が舞い散るこの季節。
これから始まる新しい生活に、大人も子供も皆、胸を膨らませているのだろう。


そして彼女は今日から進級し、高校二年となる。

制服を着て、軽く化粧をし、鏡の前に立つ。



「…よしっ。準備完了!」



すると、家のインターホンが鳴り、玄関の方から「エース君来たわよー!」という母の声。


「はーい」と優美が返事をするのとほぼ同じタイミングで、部屋のドアが開いた。



「遅ェよ。何してんだ。」



開いたドアから顔を覗かせたのは、優美の幼なじみであるエース。



「ちょっ、部屋入るときはノックしてって言ってんでしょ!着替えてたらどうすんの!」

「別にお前の着替えなんて興味ねェよ。」



冷めた目でそう言い放つエース。



「はい傷ついたー。乙女心が傷ついたー。」

「早く行くぞ。新学期早々遅刻する気かよ。」



優美の言葉を軽やかにスルーし、部屋から出るエース。

それを追い、「行ってきまーす!」と言い残し優美も外へ出た。


学校までの道のりを歩きながら、優美とエースは会話を続けていた。



「クラス発表楽しみだなー。ロビンやノジコと一緒だといいな!」

「俺も一緒だといいな!」

「いや、エースはもういいわ。」



何の縁かこの二人は、小学校の頃から10年間同じクラスになり続けてきたのだ。


話しながら歩いていると時間も短く感じるもので、気がつけば正門の前に着いていた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ