火拳と私と。
□001 新学期
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桜が舞い散るこの季節。
これから始まる新しい生活に、大人も子供も皆、胸を膨らませているのだろう。
そして彼女は今日から進級し、高校二年となる。
制服を着て、軽く化粧をし、鏡の前に立つ。
「…よしっ。準備完了!」
すると、家のインターホンが鳴り、玄関の方から「エース君来たわよー!」という母の声。
「はーい」と優美が返事をするのとほぼ同じタイミングで、部屋のドアが開いた。
「遅ェよ。何してんだ。」
開いたドアから顔を覗かせたのは、優美の幼なじみであるエース。
「ちょっ、部屋入るときはノックしてって言ってんでしょ!着替えてたらどうすんの!」
「別にお前の着替えなんて興味ねェよ。」
冷めた目でそう言い放つエース。
「はい傷ついたー。乙女心が傷ついたー。」
「早く行くぞ。新学期早々遅刻する気かよ。」
優美の言葉を軽やかにスルーし、部屋から出るエース。
それを追い、「行ってきまーす!」と言い残し優美も外へ出た。
学校までの道のりを歩きながら、優美とエースは会話を続けていた。
「クラス発表楽しみだなー。ロビンやノジコと一緒だといいな!」
「俺も一緒だといいな!」
「いや、エースはもういいわ。」
何の縁かこの二人は、小学校の頃から10年間同じクラスになり続けてきたのだ。
話しながら歩いていると時間も短く感じるもので、気がつけば正門の前に着いていた。