短編集
□幸せの天然野郎
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ワンピース高校に通う三年生、リム。
彼女は同じクラスのルフィやゾロ、ナミ達と仲が良く、放課後はルフィの家に集まることが日課になっていた。
この日も学校が終わった後、皆でルフィの家に行き、部屋で騒いでいた。
「リム、なんか落ち着き無いわね。」
そう言ってニヤニヤ笑うナミ。彼女がそう言う理由をリムは分かっている。
リムには、ルフィの家に来る目的がもう一つあったのだ。
すると不意に部屋の扉が開き、男が一人、顔を出した。
「おー、相変わらず賑やかだなお前ら。」
「エース! 今日は帰ってくるの早いな!」
「サークルが休みでな。ゆっくりしていけよー。」
エースが扉を閉めた瞬間、リムはルフィのベッドにダイブし、枕を抱えて足をバタつかせて悶え始めた。
「あぁー、格好いい! もう生まれ変わるならルフィになりたい……あんなお兄ちゃんがいるなんて。うん、死ねる。間違いなく死ねる。」
エースはルフィの兄であり、ニューゲート大学に通う大学三年生だ。
ルフィの家で初めてエースに会ったリムは、そのルックスと明るい笑顔に一瞬で引き込まれたのだった。
「うるせーぞリム。」
「ゾロにはあの格好良さがわかんないの!? そんなしかめ面してないでさ、エースさんの爽やかさを見習うべきだよ。」
「大きなお世話だ。」
そんなリムの様子を見ていたナミは笑いながら言う。
「もう、さっさと告白しちゃえばいいじゃない。」
「だから、そういうんじゃないんだって! 好きと憧れは違うの。」
リム曰く、この想いは恋とは違う、ただの憧れらしい。
だから告白もしないし、見てるだけで十分! というのがリムの口癖のようなものだった。
日が沈んだ頃リム達は解散し、それぞれ家路へ着いた。