短編集

□流星群
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ある寒い日の夜。見張り番のリムは、一人毛布にくるまりながら見張り台の上にいた。




「寒ー…なんでこんな日に限って見張りなのよ……。」




サンジにもらった温かいココアを飲みながら、ふと船首に目がいった。




「ルフィ?」




そこには、一人で仰向けに寝転がっているルフィ。

リムの声に気がついたのか、こちらに振り向き手を振ってくる。




「そんなところで何やってんの?」


「星見てんだ!」


「星?っていうか、寒くないの?」


「え? ……うわ寒っ!」




遅いよ…とツッコミを入れるリムの目の前に、ルフィの手が伸びてくる。

その手が見張り台の縁を掴んだかと思うと、ルフィは台の上へ飛んできた。




「寒ィ〜! リム、俺も入れてくれ!」


「はいはい……。」




リムが毛布の中にルフィを入れると、あったけぇ〜…という彼の幸せそうな声が聞こえた。




「それにしても、なんでこんな寒いのに星なんて見てたの?」


「今日はリュウセイグンってやつが見られるってナミから聞いたんだ!」


「へぇー、流星群か。知らなかった。」


「なァ、流れ星に願い事すると叶うんだろ?」




星よりもキラキラした目でリムを見つめるルフィ。




「何か願い事あるの?」


「そうだなー……肉を腹一杯食いたい!」


「ふふっ、ルフィそればっかり。」


「じゃあリムは願い事あるのか?」


「うーん……秘密。」


「えぇー!」




なんだよー、教えてくれよー、と駄々をこねるルフィ。


すると、キラリと空に何かが光った。




「……あ、流れ星!」


「本当か! どこだ?」


「もう消えちゃった。」


「早ェよー! もっとゆっくり流れてくれよ流れ星!」




そんなルフィの声に答えるように、一つ、また一つと流れ星が現れ始めた。




「うわ…綺麗……。」


「リム! 願い事!」




ルフィは、「肉、肉、肉……」とぶつぶつ唱えている。

それを横目に微笑みながら、リムも心の中で願い事を唱えた。




「…リムとずっと一緒にいられますように!」


「え……?」




にししっと笑うルフィ。




「こんだけ流れてんのに願い事が一つだと勿体ねェだろ?」




あと、ゾロとナミとウソップとサンジとチョッパーとロビンとフランキーとブルックもずっと一緒だ!

そう空に向かって叫ぶルフィ。




「絶対叶うよ。」


「当たり前だ! 頼んだぞ、流れ星!」




リムは笑顔で、もう一度同じ願い事を心に浮かべた。




ルフィや皆の側に、ずっといられますように...
 

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