短編集
□看病
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16番隊隊員、リム。
彼女はマルコに頼まれ、隊長のイゾウの部屋へ向かっていた。
今日締め切りの書類をまだ提出していないため、様子を見てきて欲しいとのことだった。
普段は誰よりも早く仕事を終わらせるイゾウが期限ギリギリになることは珍しく、マルコも心配しているようだ。
コンコン、と部屋の扉を叩き、「イゾウ隊長、私です。」と声をかける。
「…入れ。」というイゾウの声が聞こえ、扉を開けた。
「隊長、マルコ隊長が心配してましたけど……」
「あァ、書類か……。」
机に向かうイゾウは立ち上がろうとした瞬間、フラッとよろけた。
「隊長!」
慌てて支えるリム。
イゾウの身体は驚くほど熱かった。
「イゾウ隊長、熱が…」
「悪い、少し無理をしすぎたようだ……。」
ベッドまでイゾウを運び、布団を掛けた。
「書類は私がマルコ隊長に提出してきます。イゾウ隊長はゆっくり休んでいてくださいね。」
「ありがとな……リム。」
リムはきちんと終わらせてある書類をまとめ、マルコの部屋へと向かった。
「イゾウが熱?」
「はい……すごく辛そうで。」
「…えらく心配そうだねい。」
ニヤリと笑いながらマルコは言う。
リムは顔を少し赤らめながら、「隊長のことを心配するのは当然です!」と答える。
「リムが看病してやればすぐに治るんじゃねェか?」
「看病、ですか……」
「あァ。キスの一つでもしてやれば一発だよい。」
ボンッと音を立てそうな勢いで赤面するリム。
そんな彼女を見て面白そうに笑うマルコ。
失礼しますっ、と言い、リムはマルコの部屋を出て行った。
そのまま彼女が向かったのは、食堂。
イゾウにお粥を作ろうと決めたのだった。
作っている途中でやってきたサッチにからかわれながらもなんとか完成させ、再びイゾウの部屋へと向かった。