Bluebird

□005 もやもや
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翌日、一人で再び街に出た華乃。

気になる店をまわりながら、気付けば視線はジュードを探していた。


…いるわけないよね。
なんか私、気持ち悪いな。


そう思い、やはりに船に戻ろうと足を進める方向を変えた。




「え、華乃ちゃん?」


「あ……。」




振り返った先には、こちらへ向かって歩いてくるジュード。

笑顔で手を振る彼に、思わず高鳴る胸。




「いやー、まさか本当に会えちゃうなんてな。」


「え?」




いや、実はさ…と、頭をかきながら言うジュード。




「昨日の夜から俺、華乃ちゃんのこと気になっちゃって。また会いたいなって思ってたんだ。」




その言葉に、華乃の顔は一気に赤くなった。

言葉を返せない華乃にジュードは続ける。




「もし良かったらさ、どこかでご飯食べない? 奢るよ。」


「えっ、昨日に引き続いて悪いよ……。」


「いいの、俺がしたくてしてるんだから。行こ!」




そう言って華乃の手を引くジュード。

自分の手を包む大きな手に、華乃は顔から湯気が出そうな思いだった。


二人が入ったのは、小さいがお洒落なレストラン。
それぞれ注文したものが運ばれ、華乃は頂きます、と言ってオムライスを口に運んだ。




「ん、美味しい!」


「本当? 良かった。」




ニコニコしながら華乃を見つめるジュード。

その視線が気になり、「…私、なんか変かな?」と尋ねると、




「ううん、幸せそうに食べるなと思ってさ。」


「食べてるときが一番幸せだからね。」


「ははっ、美味しそうに食べてる子っていいよね。可愛い。」


「…ごほっ!」




ジュードのその発言に思わずむせる華乃。

ジュードは、慌てすぎだよ、と笑いながら水を差しだしてくれた。




「急に変なこと言わないでよ……。」


「いや、俺は別にからかってる訳じゃねぇよ? 本当に華乃ちゃんのことは可愛いって思ってる。」




突然向けられた真っ直ぐな目に、華乃は引き込まれてしまう。




「…昨日会ったばっかりの男にこんなこと言われて気持ち悪いかもしれないけど、」




華乃は、自分の心臓の動きがどんどん早くなっていくのを感じた。




「俺、華乃のこと好きなんだ。」


「え……。」


「返事はすぐじゃなくていいからさ、お互い島を離れる前にもう一回会えないかな。」




ジュードはそう言うと、電伝虫の番号を華乃に渡した。
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