Bluebird

□006 素顔
1ページ/4ページ

夕飯時になり、食堂へ向かった華乃。そこでレイと会い、声をかけられた。




「華乃、ジュードと話せたの?」


「今日は都合が悪かったらしくて、明後日になったの。なんか落ち着かないな……。」


「ふふっ、マルコも気にしてたわよ。」


「マルコが?」




レイはそれだけ言うと、華乃の元から離れた。

レイと入れ違いのようにやってきたのはマルコ。
マルコは華乃に、一緒に食べようと誘った。




「…華乃。レイから聞いたんだがよい。」


「えっ、」


「ジュードとかいう奴が気になってんだろ?」




レイめ…バラしたな。
別にいいけどさ。




「…本当に良い奴なんだよな?」


「うん…優しいし、大人っぽいし。」


「そうか……もし何かあったら、すぐに言えよい。」




マルコも気にしてたわよ、というレイの言葉を思い出した。


マルコ、心配してくれてたんだ…。




「ありがとう、気にかけてくれて。でも大丈夫! 自分の気持ちを伝えられたら、それで満足だから。」




華乃の笑顔を見て、少しだけ安心したマルコ。
しかし、まだ心のどこかに引っかかるものがあった。



華乃が食堂を出た後、マルコの元にサッチがやってきた。




「よぉマルコ、隣いいか?」


「サッチか…いいよい。」




サッチは、さっきの話聞いてたぞ、と話し始めた。




「盗み聞きかよい。」


「人聞き悪ィな、聞こえてきたんだよ。マルコお前、何か気になるのか?」


「あ?」


「なんか落ち着かなさそうだからよ。ほら、昔からお前の勘って冴えてるだろ? 引っかかることがあるなら俺も心配なんだよ。」




こいつの洞察力は凄ェな、と感心するマルコ。




「確かに少し気になるが…華乃を傷つける訳にもいかねェからよい。今回ばかりは気のせいだと思いたいんだ。」




そんなマルコの言葉を聞いて、目を丸くするサッチ。

そしてニヤニヤしながらマルコに言う。




「へぇ〜、お前がそこまで華乃を大切に思ってたとはな。」


「あァ? 妹を想うのは当然だろうよい。」


「妹、ねぇ……。」


「…レイと同じこと言うなよい。」




悪かったよーい、と笑いながら厨房へ戻っていくサッチ。

その後ろ姿を眺めながら、マルコは感じる違和感を無理矢理自分の中へ押し込めた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ