短編集
□幸せの天然野郎
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翌日の昼休み、リムはルフィ達と弁当を囲みながら話していた。
するとルフィが、何かを思い出したかのように口を開いた。
「昨日エースにな、リムのこといろいろ聞かれたんだ! エース、リムのこと可愛いって言ってたぞ!」
その瞬間、ルフィ以外の皆の動きが止まった。
ナミが「ルフィ…、あんた凄いこと言ったわよ。」と言うと、ルフィはハッとした様子で、
「あ、これエースに言うなって言われてたんだった。忘れてくれ!」
と言って笑う。
皆が恐る恐るリムの顔を見ると、リムはあんぐりと口を開けてルフィを見ている。
そして突然ガタッと立ち上がり、走って教室を出ていった。
そんなリムの後ろ姿を見ながら、ナミとウソップはため息をついた。
「ルフィお前バカか…?」
「エースさんのこと見ただけであんな調子なのに、リム本当に死んじゃうわよ。」
「驚いてるリムちゃんも可愛かったなー。」
「うるせぇラブコック。」
教室から出たリムは保健室に向かった。
保険医のチョッパーは、凄い勢いで開いたドアに驚いていたが、リムは構わず、「ベッド借ります。」と言ってカーテンを閉めた。
布団の中に潜り込んだリムは、全身が熱くなるのを感じながら枕を抱きしめた。
駄目、調子に乗るな私。
エースさんの言葉に深い意味なんてないんだから。
可愛い、なんてきっと他の女の人にもたくさん言ってるんだ。
眠気なんて一切感じなかったが、リムは午後の授業にも出ず、放課後の鐘が鳴るまでベッドに籠もり続けた。