短編集
□何系がお好き?
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「ちょっ、なんだよ……」
「ふふっ、赤くなっちゃって。私のこと…好き?」
「なっ……す、好き…だ……!」
……。
ごめん、レイさん。私こっちはわからないわ。
あらそう? なんか虐めたくならない?
それたぶん、レイさんがSなだけ…。
「…なァ、俺は今何をさせられたんだ?」
「ギャップだってさ。ぼくもさっきリムの相手させられた。」
「やべェ……今のエース可愛かった。」
「はっ!? ちょ、こっち来んなサッチ!」
変なツボにハマったサッチはエースに抱きつこうとする。
何とか逃れながらエースは、変なことさせんな! と涙目でレイに訴えた。
「そそるわね、その顔。」
「レイさん!?」
場が落ち着くと、サッチが口を開いた。
「でもよ、リムが好きなのは果実系男子だろ!」
「果実系?」
「だって好きだろ? パイナ……」
「誰が果実系だよい。」
突然背後から現れたその声に、サッチは冷や汗をかいた。
ギギギッと音が聞こえてきそうなほどぎこちなく後ろを振り返るとそこには、冷たい目でサッチを見下ろすマルコ。
「や、やぁマルコ! 知ってるかァ? リムはロールキャベツ男子が好きなんだってよ!」
「お前をキャベツで包んで食ってやろうかい?」
「すいませんでしたぁ!!!」
土下座するサッチを蹴り飛ばすマルコ。
食堂の端まで飛んでいくサッチには見向きもせず、マルコはリムに言う。
「…それで、何系が好きなんだって?」
「えっ?」
「俺はロールキャベツとやらではねェけどなァ……そうか、俺じゃ不満だったって訳かよい。」
「ちがっ……私は、マルコが好きなの。マルコが、いいの。」
フッと笑ったマルコは、咄嗟に立ち上がったリムの腰を引き寄せ、「知ってるよい」と耳元で囁く。
そのまま顔を真っ赤にさせたリムを連れ、食堂を出て行った。
「…私達の存在はまるで無視ね。」
「リムのために恥を忍んだぼくって……。」
「なぁ、誰かサッチの心配してやれよ。」
「クソ……あの果実系め。」
残されたメンバーは思い思いの言葉を口にしていた。