短編集

□いつまでもこの愛を
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「リム!!!」


「!? ビックリした……どうしたの、マルコ。」




リムが寝ていると、突然部屋の扉が凄い音を立てて開いた。
そしてそこには顔を青ざめ立っているマルコ。




「サッチが……」


「……え?」




何が起きたのかはわからないが、嫌な予感がしたリムはマルコに着いて行き、甲板へたどり着いた。




「リム……」




リムの姿を見つけたクルーは、悲しそうな表情を浮かべ、すぐに顔を逸らした。

リムのために自然と開かれた道。その先に見えたものは、




「……サッチ?」




血を流して倒れているサッチだった。

ゆっくりと近づき、肩をそっと揺すり、名前を呼ぶ。




「サッチ……どうしたの?」




いくら呼びかけてもサッチからの返事はない。




「ねぇ、起きてよ……あ、わかった。ドッキリでしょ!」


「……リム」


「マルコまでそんな演技しちゃってさ! 騙されるところだったな……だからさ、もうわかったから、いいよ。起きて」




どれだけリムが声をかけてもピクリとも動かないサッチ。
それでも話しかけ続けるリムを見ていられず、クルー達は顔を逸らした。




「リム、サッチは……」


「…そっか、寝たふりしてたら本当に寝ちゃったんだね。バカだなーサッチ! …マルコ、私部屋戻るからさ、サッチが起きたらまた呼びに来てよ」




そう言って船内に戻ろうと背を向けるリム。




「リム!」




その瞬間、マルコの声が響いた。

背を向けたまま足を止めるリム。




「サッチは……死んだ」


「…」


「殺されたんだよい、ティーチに」


「…何言ってんの?」




リムは振り向き、マルコを睨みつけながら言う。




「サッチは…あんなんだけど、ここの隊長なんだよ? マルコだってサッチの強さはわかってるでしょ!? ティーチなんかに負けるわけない!」


「俺だって信じたくねェよい!」


「!」


「だが……これが事実だ。」




リムは改めて床に倒れるサッチに目を向けた。

どれだけ名前を呼んでも、体を揺すっても、微動だにしない。


嫌でも、彼が死んでいるという現実を受け入れるしかなかった。
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