短編集
□船長愛好会
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「そうだシャチ、これ見て! じゃじゃーんっ!」
「んだそれ……って、はぁぁぁぁ!? なんでお前がそんな写真持ってんだ!」
「ふっふっふ……甲板でお昼寝中のキャプテンをパシャッと頂きました。御馳走様です。」
リムが持っていたのは、ローの寝顔写真。
本人にバレると捨てられるだけでは済まされないが、二人はチャンスを伺ってはキャプテンコレクションを増やしていた。
「ハァ……寝顔も素敵だなァ…俺もいつか隣で…」
「だめだめ。キャプテンとの添い寝権はいつか私が貰うんだから。」
顔の筋肉をこれでもかというほど緩ませながら話す二人を見て、「気持ち悪ぃな、あいつら…」と言いながらも笑っているクルー。
そんな和やかな雰囲気漂うこの空間が、一瞬にして凍り付いた。
「あぁ、キャプテンに踏まれたい…そしてそのままキャプテンの部屋に埋まりたい……。」
「キャプテンに私の心臓を捧げたい…そしてそれをギュッと握られたい……。」
「望み通りにしてやろうか?」
突然、二人の背後から聞こえた低音ボイス。
ハッとした二人がゆっくり振り向くと、そこにいたのは...
「「キャ、キャプテン……!」」
冷たい目で見下ろすロー。
心の中で興奮する二人だが、その手に持っているものを見た瞬間、背中に嫌な汗が流れた。
「なんだこれは。」
「あ、あの、キャプテン…それは……。」
「はっきり言え。なんなんだ、これは。」
「その………天使です。」
「あァ?」
ローが持つその写真は、ついさっきまでリムがシャチに見せびらかしていたそれだった。
「…ハァ」
ため息をついたローは、二人の肩にポンと手を置く。
「えっ?」
「キャプテン?」
「気を楽にしろ……すぐ終わる。」
その瞬間、二人の悲鳴が船中に響き渡った。
「…ねぇペンギン、なんであの二人死にかけてるのに嬉しそうなの?」
「お前は知らなくていい、ベポ。」