障害兄弟の日常

□夏休みと遊び
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3話 遊びと夏と花火

おつかいから二週間。
蘭夜君達のお家の様子を見てみよう。
湯対馬「やぁだ、やぁだ!やるのー!」
蘭夜「湯対馬、今年は今月中には出来ないだけで、8月まで休みだから、8月の1日にするから、な?」
事の次第を説明すると・・・
蘭夜君の家では毎年7月の末辺りに花火をする。
けれども、花火を買い忘れた蘭夜。
もう日も暮れていて、危ない時間。
買いに行ってもいいが、夕飯を作らなければいけない。
蘭夜「湯対馬、だから、今年はいつもより1日遅くなるだけだから、そんなにわがまま言わないで。ね?」
湯対馬「やぁだ、やぁだ!」
蘭夜はため息をつく。
蘭夜「翔、煉斗と花火買ってきて。」
翔「いつものやつ?いくつ買ってくればいい?」
蘭夜「そう、いつものやつ。3つあれば十分だろう。」
蘭夜はお店の値段を大体把握している。
蘭夜は2500円渡し、買いに行ってもらう。
蘭夜は夕飯を作る。
頬を膨らませて若干お怒り気味の湯対馬。
蘭夜「ほら、湯対馬、ちょっと味見してごらん。」
今日の夕飯は冷やし中華。
市販の物だか、アレンジをくわえまくる。
蘭夜「美味しい?」
湯対馬「うん。」
蘭夜「そっか。よかった。」
すると、玄関の扉が開く音がした。
翔・煉斗「ただいまぁ。」
蘭夜「あ、おかえり。丁度ご飯出来たところだよ。」
ご飯を食べたあとはみんなで庭で花火をした。
みんな笑顔で楽しんでいた。
そんな中、蘭夜は皿洗いをしていた。
翔「兄ちゃーん!しないのー!?」
蘭夜「兄ちゃんはいいよー!三人で楽しんでー!」
蘭夜は皿洗いをしながらも、楽しんでいた。
煉斗や湯対馬の笑い声や、楽しそうな声を聞いているだけでいい。
本当は、もっと近くで聞いていたいけれど、自分には自分のやるべき事がある。
11時になって、花火は終わった。
みんなお風呂に入って、布団に入って寝入ってしまった。
この時間は蘭夜だけの時間。
起こさないためにリビングの電気を消して、カーテンを閉めてテレビを見る部屋だけ電気を付けて自分だけの時間を楽しんでいた。
母親は蘭夜が働き出した18歳の時に亡くなっている。
父親とは離婚しているので、母親が一人で自分たちを育ててくれたのだ。
蘭夜はテレビを消して、庭の縁側にジュースを持って座って空を眺めていた。
蘭夜はこんな幸せな日々がずっと続けばいいと、願っていた。
今、母親がいたら、今の自分を見た母親は、なんて言ってくれるのだろう。
蘭夜には頼れる大人はいない。
けれど、話ができる人間はいる。
蘭夜は携帯を取り出し、誰かに電話する。
蘭夜「もしもし。」
?「もしもし。」
蘭夜「ルウか?」
ルウ「ん、そうだけど。なんかあったのか?急に電話なんて。」
蘭夜「・・・いや、なんとなく・・・ね。」
ルウ「そう・・・なんとなく・・・か。なわきゃないだろ。
お前がそう言う時は決まって何か話しがあるんだろ?」
蘭夜は乾いた声で笑う。
蘭夜「ははっ、そうかもね・・・。」
ルウ「何かあったのか?」
蘭夜「いや・・・俺って、お兄ちゃんとしてもそうだけど、ちゃんと父親の代わり、出来てるかなって、また、最近思うようになってさ・・・。」
ルウ「ふぅん・・・。できてんじゃね?w」
蘭夜「なんだよ、そのどーでもいいみたいな返答w」
蘭夜は笑って言った。
ルウ「でもまぁ・・・そんなに難しく考えんなよ。気楽にいこーぜ、気楽に。」
蘭夜「そーだな。気楽に行くかw」









夏休みが終わり、始業式の日。
学校が終わって友達と一緒に帰っていた煉斗。
遊「おい、煉斗、聞いてるか?」
煉斗「う、うん。」
遊「それでさぁ、俺の弟ったらさぁ・・・。」
煉斗は遊のランドセルを引っ張った。
遊「うわっ!」
遊はおもわずしりもちをついてしまった。
遊「なにすんだよもう。」
煉斗「赤信号だったから。」
遊「あぁ、そうか。さ、さんきゅーな。」
煉斗「気をつけなよ。」
遊「おう。しっかし、お前はいっつもそうだよなぁ。」
信号が青に変わり、渡り始める。
すると勢いよく走ってくる車が。
煉斗はドライバーを見た。
居眠りだった。
煉斗は遊のランドセルに突撃した。
そして車の急ブレーキの音が、辺りに響き渡った。

二章 煉斗と障害と足に続く
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