障害兄弟の日常

□お兄ちゃんの秘密と未来
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一話 秘密
湯対馬「ねぇーお兄ちゃん。」
蘭夜「んー?」
湯対馬「お兄ちゃんって、何か秘密にしてる事ってあるのー?」
蘭夜「えっ?」
突然だった。
予想外の質問に、若干てんぱる。
蘭夜「そ、そりゃあ、隠し事の一つや二つはあるさ。」
湯対馬「それ教えてー。」
蘭夜「だーめ。」
湯対馬「えー、教えてよう。」
蘭夜「秘密っていうのは、誰にも言っちゃいけないから、秘密って言うんだぞ?」
湯対馬「そーなの?」
蘭夜「そーなの。」
俺は湯対馬を自分の部屋のベッドに寝かせる。
蘭夜「ほら、もう夜だから、ねんねしような。」
蘭夜は絵本を3、4冊取ると、絵本を読む。
読み終わると、掛け布団をかけて、煉斗の部屋に行く。
蘭夜「煉斗?寝た?」
部屋は静かで、ベッドに近づいて煉斗の顔を覗き込むと幼い寝顔があった。
いつの間にかふふっ。と笑みを浮かべていた。
指先で頬に触れる。
ぷにぷにしてて、柔らかくて、髪の毛はちょっとくせっ毛なのにストレートな髪質。
髪の毛を指でつまんでくるくる回す。
すると、煉斗が上半身だけ右側に寝返りを打つ。
蘭夜は下半身を上半身と同じ右側に向ける。
すると、煉斗が寝言を言う。
煉斗「うぅん・・・ジュース・・・。」
蘭夜はくすっと笑った。
また、ジュースの夢を見てるのかな?今月4回目か。
そう思うとまた、くすっと、笑ってしまった。
蘭夜は煉斗のまだ自分より小さな手を握る。
すると、煉斗も、手を握った。
蘭夜は小さな声で独り言を言う。
蘭夜「どこで、間違えたのかな。お兄ちゃん。」
すると、煉斗が目をさます。
煉斗「ぅんむ・・・にいに・・・?」
蘭夜「ん?どうした?煉斗。おしっこ?」
煉斗「うん。」
蘭夜は煉斗を抱っこしてトイレに行く。
蘭夜「なぁ、煉斗。」
煉斗「なぁに?」
蘭夜「嫌かもしれないけどさ、やっぱり、練習しよう?」
調べた所、麻痺はリハビリで治るらしい。
勿論、リハビリはかかりつけの大きな病院でする。
煉斗が眠っている間は機械が筋肉をほぐしていた。
煉斗「やってみる。」
と、眠たそうに言った。
トイレを終えると、また部屋に戻って寝る。
次の日、蘭夜はお昼ご飯や湯対馬、家事などをまかせ、病院のリハビリ室に行く。
リハビリ室は病院の先生に予約を取ってもらって、先生の診察の後にする。
リハビリ室の中に入るとぐずり始める煉斗。
可愛くって写真が撮りたい。
だが、その気持ちを抑えて担当の先生に煉斗を預ける。
リハビリは一回三時間。
ゆっくり優しく男の先生、遊先生が煉斗のリハビリをしてくれている。
その様子を椅子に座って見守る。
リハビリが終わると煉斗はくたくたになって眠ってしまった。
帰りに家でもできるリハビリを教えてもらった。
その日の夜、煉斗と一緒にやった。
薬はビタミン剤をもらった。
一応煉斗には寝る時以外は装具を着けてもらっている。
煉斗「お兄ちゃぁん。」
蘭夜「ん?」
煉斗「僕もう疲れたぁ。」
蘭夜「今日はこれくらいにしておこうか。」
そう言って煉斗の装具を外してベッドに寝かせ、自分も横になる。
蘭夜「早く歩けるようになってあれがいらなくなればいいな。」
煉斗「うん。」
数分後。
蘭夜「さて、行きますか。変わってるといいな。煉斗の未来。」

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