short story
□雨のち晴れ
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※学パロ
シオン「もういい! 1人で帰るっ!!!」
クラピカ「待たないかシオン!!」
今は放課後。
シオンは幼馴染のクラピカを置き去りにして、生徒玄関から外に飛び出した。
靴はしっかり履きかえて。
簡単に言うとシオンのやきもちだった。
生徒会長をしているクラピカは、副会長の女子と抱き合っていたのだ。
クラピカはかっこよくて優しい人だから分かってたけど。
…………やっぱり苦しいな。
もう振り返っても、自分の通っている高校の校舎は見えない。
1人駆けていくと雨が降り始めた。
傘なんか持ってきてない。
雨でもかぶって冷静になれ≠チてことかな。
この雨がこんなドロドロした感情を洗い流してくれたらいいのに。
しばらく走っていると公園が見えてきた。
そこのブランコに腰を掛けることにしたシオン。
シオン「はぁ〜、幼馴染なんかに何でやきもちなんか……」
別に私はクラピカの恋人でもないのに。
誰と愛し合っていようが私には関係ないはず。
むしろ幼馴染としてクラピカの恋を応援してあげないといけないのに。
とうとう雨は本降りになってきた。
シオンの髪はシャワーでも浴びたかのように濡れていた。
髪から水滴が落ちてくるほどに……。
シオンはずっとクラピカのことを思っていた。
いつの間にか、クラピカに惹かれていた。
こんなにも愛おしい存在になってしまった。
シオン「クラピカ……。ずっと好きだったんだよ?」
もう気持ちは沈み切ってしまったためにブランコから立ち上がれない。
ここまで濡れたらもう関係ないか。
するといきなり雨が止んだ。
私のドロドロした感情を流してくれるんじゃなかったの?
クラピカ「シオン、ずぶ濡れじゃないか。体を冷やすぞ!」
その声を聞き、シオンは思いっきり顔を上げた。
そこには傘をさした愛おしいあの人。
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シオン「な、なんで……」
クラピカ「なんでだと? いきなり私を置いて走り去っていくからだろう」
クラピカは眉間にしわを寄せていた。
シオン「なんで怒ってるの?」
クラピカ「心配したからに決まっているだろう。放課後に告白をしようとしていたのに逃げるからだ!!」
え…………?
シオン「…………誰が?」
クラピカ「私がだ」
シオン「誰に?」
クラピカ「…………シオンに!!」
は…………?
ま、まさか?
シオン「で、でもさっ! 今日の昼休みに副会長と抱き合ってなかった?」
クラピカ「ちがう! あれは告白されて抱き着かれたんだ。しっかり断った」
シオン「そうなの?」
クラピカ「だから私の気持ちを受け取って欲しい。シオンの気持ちを私にくれないか?」
そう言うとクラピカは片膝を地面につき、シオンを抱きしめた。
シオン「うん……あげる!! 私の気持ちも全部!!」
シオンもクラピカの背中に手をまわす。
クラピカ「絶対に放しはしない。私だけを見ていてくれ」
そして、2人は冷たい唇を雨が止むまで求め合っていたのだった。
END
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