short story
□気づいた恋
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…………翌日…………
ライト「それでは今から出発する。今日はネオンが行きたがっていた地下競売だからな。護衛をしっかり頼む」
ライト=ノストラードがクラピカ達に言った。
クラピカ「バショウとリンセンはボス達の車に乗ってくれ。私とセンリツとシオン、それからイスガはもう1台の車で後ろにつく」
センリツ「わかったわ」
シオン「わかったよ」
イスガ「はいっっ!」
4人を乗せた車はクラピカにハンドルを握られ、荒れた道を走りながら目的地へと向かっていた。
センリツが助手席に座りながら、前を走るバショウたちの車と周りの風景を眺めている。
後部座席では、助手席の後ろに座っているシオンが、隣にいる新人の肩に手を回しながらいつものフレンドリーさを発揮いさせていた。
シオン「もう少しリラックスしたら? 何かあった時に対応できないよ」
イスガ「はい!! シオンさん!」
シオン「同じチームなんだしいつでも頼ってね」
イスガ「ありがとうございます!」
センリツ「シオンも昨日は緊張してたのにうまくやってるみたい」
クラピカ「…………あぁ」
センリツ「それで? 今回の競売場の規模は?」
クラピカ「幻影旅団が現れた時よりは小さいが、それでも大きい方だ」
クラピカとセンリツが早々に会話を切り上げるとタイヤと砂利道がこすれる音と、後部座席の2人の声がBGMのように車内に聞こえてくる。
センリツ「シオンとイスガ君、楽しそうに話しをしてるわね。打ち解けたみたいでよかったわ」
センリツが後ろにいる2人の話を持ちかけてきた。
2人は話が盛り上がっているらしく運転席と助手席の会話は全く気にも留めてしていない様子。
クラピカ「コミュニケーションが取れているなら良いことだ」
センリツ「そう?」
クラピカはバックミラーを覗きながらセンリツに答えた。
センリツはクスクスと笑っている。
クラピカはバックミラーに意識が向けていたため、ボス達の乗っている車が止まっていることに気がつかず急ブレーキを踏んだ。
シオン「……もう少し、安全運転してくれないかな? クラピカさん」
そう言ったシオンは、センリツの座席のヘッドレストに頭をぶつけていた。
クラピカ「す、すまない」
シオン「クラピカさん、珍しくボケーっとしてるね」
センリツ「あなたのことになるといつもボーっとしてるわよ」
シオン「ん? 今なんて?」
クラピカ「センリツ!」
センリツ「何でもないわ」
センリツは隣にいるクラピカにしか聞こえないような声で小さく呟いた。
イスガ「何かあったんでしょうか?」
ピピピピピピッ ピピピピピピッ
クラピカのケータイが車内に鳴り響く。
クラピカ「バショウか。どうした?」
バショウ《いきなり目の前に他のマフィアの手下が出てきやがった。オレ達はUターンして別の道から向かうからよ。こいつ等の足止めしてくれ》
クラピカ「わかった。ボス達を頼む」
バショウ《おう!》
そう言って、クラピカはケータイの通話を切った。
クラピカ「今の話、聞こえていたか?」
シオン「うん」
センリツ「ええ」
イスガ「はい」
クラピカ達が車から出ると、ボス達を乗せた車はUターンをして走り出した。
敵1 「何だぁ? オメー等そこどけや! オレ等はなぁ、さっきの車に用があるんだよ!!」
クラピカ「悪いが通すわけにはいかないな」
敵2 「ならここで殺っちまうぞ!!」
と言って刃物を取り出してきた。
シオン「よーし! 燃えてきた!」
と言って敵に向かって走り出す。
クラピカ「待たないか! 全く……前のめりになるなと言っておいたのに。我々も行くぞ。センリツは車の傍にいてくれ」
センリツ「ええ!」
イスガ「はい!」
3人はそれぞれ行動を始めた。
その頃、シオンはすでに5人をなぎ払っていた。
イスガ「シオンさん、とても強いんですね!」
クラピカ「あぁ」
クラピカは短く返事を返して戦闘に入った。
敵は全部で約20人。
シオンがすでに5人倒しているおかげで残りは15人程。
1人につき5人と言ったところか……。
まぁ、シオンは10人倒すことになるが。
あいつはそれくらい相手にしたほうが喜ぶだろう。
クラピカはそう判断し、周りの様子をうかがいながら戦っていた。
その頃、シオンは向かってきた敵の刃を手で払い、みぞおちを拳で殴っていた。
シオンのことはそんなに心配はしていなかった。
あいつは出来るからな。
そうしてクラピカはイスガの方に目をやった。
そちらもオドオドしてはいるがなんとか戦っている。
しかし、前に気を取られ過ぎていて後ろに隙ができていた。
後ろからの敵がイスガに刀で斬りかかってくる。
クラピカ「危ないぞ!」
クラピカは声を上げるとイスガの後ろに立った。
クラピカは怪我をしてでもイスガを庇おうとしている。
センリツ「クラピカ!!」
センリツの声が一帯に響き渡った。
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