short story

□サクラと栞
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シオン「あっ、センリツ! ただいまー」

イスガ「ただいまです!」


クラピカ達よりも遅く帰ってきたシオン達と、ノストラード邸のろうかで鉢合わせしたセンリツ。

クラピカとバショウとはノストラード邸に着いてから別れてしまったため、ここにはいなかった。


センリツ「あらっ……おかえりなさい。シオン、イスガ」

シオン「……? どうかしたの、センリツ。少し様子がヘンだよ?」

センリツ「そうかしら?」

シオン「さっきバショウともすれ違ったけど、なんかよそよそしかったし」


ねっ≠ニ言いながら隣に顔を向けるシオン。

それに答えるように相づちを打っているイスガ。


そんな2人を見ていると、クラピカの悲痛な表情を思い出してしまうセンリツ。

何とか話を変えようとしたセンリツは、シオンの持っている小さな紙袋に目をやった。


センリツ「今日は2人でどこに行ってきたの?」


どことなく詮索をしてみるセンリツ。


シオン「あぁ、私の買い物に付き合ってもらったんだ! ありがとうイスガ!!」

イスガ「良いんですよ。オレも買いたい物があったので丁度良かったです」


やっぱりシオンは、イスガに向けて満天の笑みを向ける。

それと同時にシオンの心音が軽やかにスキップしているようだった。


もしかして本当にシオンはクラピカよりもイスガを……。

認めたくない予想をしてしまうセンリツ。


イスガ「クラピカさん、喜んでくれるといいですね!」

シオン「うんっ!」



センリツ「……えっ?」


シオン「えっ?」

イスガ「えっ?」



センリツが不意を突かれたような顔をして声を発した。


センリツ「その紙袋ってクラピカに?」

シオン「? うん、だって明日はクラピカさんの誕生日でしょ! 
でも、今まで戦いのことしか頭になかったから、どんな物あげれば良いのか分からなくって…………。
だから、イスガに頼んで男の人の意見を聞いたんだ。
でねっ! 帰り道にきれいな桜の並木道があってね! 最高だったんだよ!!」

イスガ「とっても綺麗でしたね!!」



つまり私たちは、タイミングが悪かったのね…………。



センリツは、安心からきた溜め息を漏らしていた。


良かったわね、クラピカ。

とても愛されてるじゃない。


あなたがやきもちを焼いたシオンの笑顔は、すべてあなたに向けられていた物なのだから。











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