STORY

□褒めて。
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「ごめんなさい。」

「……」

「ねえ、ヒョン 」

「…ジョンデなんて嫌い。」


さっきからこの繰り返しだ。

堅いフローリングに正座している
俺の方には目もくれず、
ヒョンはふかふかのソファの
上でクッションに顔をうずめてる。

珍しい一日休みの昼下がり。
クッションからちらついている
ヒョンの明るい金髪が太陽に照らされて
きらきらと透けているように輝いている。


そう、これがヒョンが拗ねている原因。


ーー

もうすぐカムバックと
あって、忙しい日々が続いている。

ミュージックビデオは
全体での撮影だけど、
今は個人のティザー撮影など
個人活動が忙しい日々が
この所ずっと続いていて、
一緒に住んでいるとはいえ
一日顔を見ないメンバーが
いてもおかしくなかった。

「会いたいな…」

すれ違いは恋人である
イシニヒョンにも当てはまっている。

もともと一人部屋にこもって
作曲をしているヒョンだけど、
カムバック前はさらに集中
したいのか鍵を閉めて作業していた。

普段なら鍵は閉めていないし、
作曲しているヒョンの隣で
おかまいなく白い首筋に顔を
うずめてみたり、抱きしめて
いたりするのが2人の癒しの時間なのに。

その時間もなく、ましてや
自分も忙しいとなると
ますますヒョンが足りなく
なっていった。

だからといって
どうする事も出来なくて、
珍しい一日休みもただ
宿舎のリビングにある
ソファーに埋もれて適当に
つけたのTVを眺めていた。


「あー、疲れた〜」

「!」

ガチャりとリビングのドアが開いたと同時に、
聞き馴染みのある、愛しい声。


その声に向かって、
寝転んでいた体を飛び起こす。


「…うわ、」

「……え、何それ。」


ヒョンの髪が、まるで
太陽に透けてしまいそうな
明るい金髪になっていた。
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