魔法の国の作り方

□序章
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その日の夜に見たニュースで俺は少し驚いた。
俺のようにツノを持った人が、摩訶不思議な力を使って悪いことを繰り返してるらしい。
そんな報道されたら、明日から表を出歩けないじゃないか。
明日は、一日家の中で大人しくするか・・・。

父さんと母さんは俺をとても心配してくれたけど、ツノの分頭が重いってこと以外は特に何にも無くって困っていた。
どういっても強がりにしか聞えないらしく、家中がそわそわして落ち着かない。
病院にも行ってみたが、このツノはレントゲンに写らなかった。
さわれる癖して、写らないなんて医者殺しだ。
お陰で何枚とっても人の頭部のレントゲン写真が出来上がるだけだった。

楓に連絡をしてみると、楓の家でも同じような事になっているらしい。
そして楓は小声でそっと俺に言った。

「耳の上のほうにちょっと突起があるんだ。出来物かなって思ったけどなんか違うみたいでさ」
「まさか・・・」
「そのまさか、なのかな?」

聞かれても、どう答えるべきか分からない。
今のところ、髪に隠れる大きさなので家族にはバレていないらしい。
話しながら鏡で自分のツノを見ると、薄黒く変色しているようにも見えるそれは少し汚い印象だった。
なんでそんなものが俺たちの頭に移植されたのかは分からない。
けど、あいつらの反応からこのツノが何らかの力の証であるのは確かなようだ。

数日後、ニュースではツノ組織追放運動とやらが流されていた。
世間ではツノ=犯罪者のイメージが付いてしまったようだ。
俺もここ最近は太陽の下に出ることが少ない。
出ても、フードを被らなければ通報されかねない。

俺達の誘拐の件だったりで警察には何度か事情を説明して潔白を貫いているが、いついちゃもんつけられてもおかしくないと分かっていた。
僕は念力紛いなことはしたことがありませんなんて、言っても証明がない。
こんなんじゃ、何もしてない俺まで犯罪者だ。
部屋の窓から誰かに見られている気がしてカーテンを閉めた。
何度もツノが取れないかを試した。精一杯の力をこめて抜こうとしたり、折ろうとして、ついにハンマーで砕こうとして間違えて頭を思いっきり殴ったところでやっと諦めがついた。
こんな事しても頭痛の素にしかならない。
むしる様に毎日、無茶苦茶に嘆き続けた。残りの長い人生はこんなふうに日陰で過ごしていくのか、と思うと急に淋しくなった。
それにも飽きたある日、ふと目をやると閉めきったカーテンの隙間から漏れる光が部屋のほこりをキラキラ光らせていた。














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