猫の鈴(創作小説)

□猫の鈴1
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むかしむかしあるところに、人智を超えた力を持つ女がいた。ある人がその女に、なぜそのような力を持ったのか聞いてみた。すると女はただ一言、「神通力のおかげでございます…」と言って微笑んだそうな。


ところかわって2011年の10月上旬、神通力を持った学生のみが入学できる十干学院になぜか普通の人間、いわゆる『能なし』が通っていた。
彼女の名前は冬見 鈴(ふゆみ すず)。中学三年生。耳の下で二つに結んだ長い黒髪、七三分けの前髪、黒渕の眼鏡をかけた華奢な体つきの地味な女の子だ。学院に入学した理由も分からないまま辞めることもできず、早二年半が経っていた。十干学院は中高一貫校であるが、冬見は学院長に頼んで中学で卒業させてもらう予定になっていた。あと半年、他の生徒たちに能なしであることを隠し通して学院生活を平和に過ごすことが冬見の最大の目標だ。しかし、いつの時代も神様はそんなに優しくはない。神様は彼女に試練を与え、彼女の運命は狂い始めていくのだった。
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